(5) 結婚相談所 お見合い件数激減 コロナ禍「仕方ない」

  • 変わる日常 コロナ新時代, 特集
  • 2020年6月22日
苫小牧信用金庫本店の結婚相談所のカウンター。アクリル板を設置して感染防止対策に取り組む

  結婚を望む男女が出会い、距離を縮め、愛を深める機会を新型コロナウイルスが妨げている。苫小牧信用金庫の結婚相談所「Love Love Bridal(ラブラブブライダル=LLB)」は3~5月に業務の休止を余儀なくされた。今月、部分的に活動を再開させたが、「お見合い」の件数は激減。感染防止やソーシャルディスタンス(社会的距離)に配慮しながら、会員に寄り添ったサポートを続けている。

   LLBは全国的にも珍しい信金が手掛ける結婚相談事業。地域活性化などを目的に、2013年6月から実施している。苫小牧や札幌など苫信の営業地域に住む独身男女が対象で、会員数は3月末時点で618人に上る。内訳は男性297人、女性321人。年代別に見ると、男性は40代が40・5%、女性は30代が53%と最も多い。7年間の活動で57組が結婚に至っており、担当者は「結婚した会員が住宅や自動車を購入する際、ローンを紹介することもある」と語る。

   苫小牧市表町の苫信本店で会員の「マッチング」を進める。職業や趣味などの略歴を見て、気になった相手と会うことに当事者の同意が得られれば、本店6階の応接室で30分間の「お見合い」をする。もっとお互いのことを知りたい場合は、市内の飲食店などで改めて2時間話をする場をセッティング。その後の交際期間は3カ月間を目安に、結婚を前提に付き合うか、別れるか決めてもらう仕組み。登録者やカップルは増え続けていたが、新型コロナで状況が一変した。

   3月から5月にかけては外出自粛などを受け、事務局も業務を休止し、マッチング作業ができなくなった。会員同士で会う機会も減って、交際期間を5カ月間に延ばしたケースも。会員からは「こういう状況では仕方ない」と理解を示す声も目立ったが、医療関係者や身内に高齢者を抱える会員からは「今は外に出られない」と苦しい胸の内を明かされたという。

   LLBは1日に活動を再開させたが、現時点で対象は苫小牧周辺の会員に限定。事務局に足を運ぶ際はマスクの着用を求め、本店の入り口で検温するなど感染防止対策を徹底している。応接室にビニールシート、事務局カウンターにはアクリル板を設置。お見合いもあいさつの時だけマスクを外すようにしている。密閉、密集、密接の「3密」を避けるようにしているが、婚活の機運はなかなか盛り上がらず、お見合いは「コロナ前」に月平均20回あったのが、今月は17日現在、3回にとどまっている。

   ただ、生涯を共にするパートナーを探している人は多く、今月、お見合いをした男女が再び会う約束をしているケースも。19日には事務局に「結婚を前提に付き合い続ける」というカップルからの報告が入った。担当者は「無理をさせず、会員の了解を取りながら動向を見守り、紹介を進めたい。出会いたい人は多いので、落ち着いてたら婚活パーティーも企画したい」と話した。

  (室谷実)

過去30日間の紙面が閲覧可能です。