苫小牧東高在学時代の1学年上の先輩、池田正幸さん、細田秀夫さんら1975(昭和50)年卒業組が、当時の1、2年生にも声を掛けて結成した仲間内のOBグループ「50(ごーまる)会」があった。97年ごろから毎年夏に父の正、母の元子も参加して家族ぐるみの道内旅行や苫小牧市内のリンクを貸し切りにして、アイスホッケーをしている会員の子どもたちと親子対抗試合をよくした。OB間のつながりを意識するきっかけになった。
桧山北高に赴任していた頃、苫東の部の大先輩で日本リーグ岩倉の元選手・監督、日本アイスホッケー連盟副会長を務めた河渕務さんがOB会を立ち上げた。父が作った名簿を基に全国の卒業生に呼び掛け、盛大に第1回総会が開かれたと聞いたもののその後の活動が続かなかった。
OB名簿には正規部員のほか、高校卒業後に競技を始めた人なども多くいた。入会対象者の規約作りがうまく進まなかったのが原因だった。37年創部の歴史と伝統を守りたい。教え子たちに誇りを持ってもらうきっかけにしたいとの思いでOB会再結成を決めた。
2017年に迎える苫東高創立80周年に照準を合わせ、発起人代表を務めてくれた1学年下の後輩木村司君と2人で15年から発足準備を進めた。当時634人もの名が記されたOB名簿を電子データ化。住所記載のあった580人に総会の案内はがきを送付した。30年以上も更新されていない名簿のため、300通以上が宛先不明で返送されてきた。根気の要る作業だった。
会則も作った。1966年度に主将として全国制覇を達成している元王子製紙選手の本間照康さんに会長就任を快諾してもらい、市内在住のOB数人にも役員就任をお願いして毎週会合を開いた。会員間の親睦や現役部員支援といった活動目的を設定。資格は苫東高アイスホッケー部OB、指導者、高校卒業後にアイスホッケーに関わるようになった人まで幅広くした。
時代によっては明確に部員と名乗れないことがあった人もいるし、大学や社会人からアイスホッケーを志し、競技振興、発展に尽力している人がたくさんいると知っていた。どんな境遇でも苫東アイスホッケー部に感謝する気持ちは一緒。純粋な部員だけ、という制限は絶対に設けたくなかった。
2017年6月24日、市内のホテルで発足総会を開いた。1961年度から2013年度までの卒業生50人以上が全国各地から出席してくれた。年代の垣根を越えた組織が出来上がったことに、ただただ感動を覚えた。18年度以降は新入部員に公式戦ユニホーム、女子選手にはチームジャンパーをそれぞれ寄贈し続けている。OB会には19年度時点で男女656人が名を連ねる。
(構成・北畠授)