社会人野球クラブチームのWEEDしらおいで投手兼コーチを務める桐木孝司(49)。ヴィガしらおいやシダックスで活躍した右腕は2020年も現役登録を続行中だ。シーズン入りを前にして新型コロナウイルス禍が起き、公式戦が次々と中止となった中、黙々と個人練習を進めてきた。ベテランに心境や展望を尋ねた。
(聞き手・石井翔太)
―WEEDしらおい投手としての昨シーズンを振り返って。
後進に譲る意味でも登板機会は少なくなった。仕事が忙しく、昨年は練習量を十分に確保できていなかったが、マウンドでの役割はこなせたと思う。
―新型コロナウイルスの影響でこの春は全体練習がストップしてきた。自主練習はどのように進めたか。
球場が使えず、2、3人でキャッチボールするといった練習がほとんどだった。やれることは限られたが、ネットがある場所で球を投げたり、ランニングで汗を流したりし、肩の状態の維持に努めた。
―現役を貫くことへの思いは。
「投げられている」という姿だけではなくて、結果も出してベテランの味を出したい。そのための準備を確実にして、特に試合では救援の役目をしっかりと果たす。若手にもその姿勢を示したい。
―現状の課題は。
体のキレを出す上で、練習の継続が大事になってくる。イメージトレーニングは活動休止中も続けてきた。コースを狙って球をリリースする指先の感覚を保ちたい。
―コーチとして若手選手を指導することも多くなったが、意識していることは。
投球フォームについては若い選手に教えることが多い。リリースのタイミングをぎりぎりのところに持っていくために必要な体重移動の要領を教えている。自分の経験を少しでも若手選手に還元していきたい。
―シーズンの再開に向けた抱負を。
新型コロナウイルスの影響で野球ができない状態が続いてきたのは、どのチームのどの選手にとっても同じ。自分としては次の出番に向けて、モチベーションを高めていく時機が来たと思う。来年で年齢的に節目を迎える。「50歳でも投げられるぞ」という姿を見せたい。
桐木孝司(きりき・たかし) 白老町出身。1971年生まれ。北海道桜丘高校卒業後の90年に社会人野球の大昭和製紙北海道入り。ヴィガしらおいから移籍したシダックスでは、99年の日本選手権でチーム初優勝に貢献。帰郷してWEEDしらおいの戦列に加わり、今季で18年目。投手兼コーチを務めている。病院職員。