「まだ100%元の生活に戻ったわけではない」。苫小牧市宮の森町の主婦、岩崎梨奈さん(32)は気を抜かず、平穏な日常が完全に戻ることを願う。新型コロナウイルスの感染拡大で、2月から5月にかけて「巣ごもり」を心掛けた。夫の裕樹さん(32)、長男の力也ちゃん(3)、長女のおと花ちゃん(1)と4人暮らし。外出自粛で「ピリピリしたこともあった」と言うが、家族と「密」に過ごす貴重な時間を得られた。
2月末の道の「緊急事態宣言」を受け、力也ちゃんの幼稚園が休園した当初、梨奈さんは「どうやって過ごせばいいか」と不安が大きかった。子どもたちに何がしたいか問い掛け、希望を優先させて過ごすことに。一緒に料理を作ったり、自宅の敷地内で花を摘んだり。子どもたちが成長して興味が広がる時期に「じっくり関わり、過ごせる楽しい時間」と思い直した。
塾講師の裕樹さんにも変化があった。小中学校の休校や外出自粛に伴い、塾でオンライン授業を始めたこともあり、勤務時間が朝から夕方に変わった。「コロナ前」は夜遅くの帰宅が続き、早寝早起きの子どもたちと擦れ違いの日々だった。力也ちゃん、おと花ちゃんは「朝からお父さんがいる」と大はしゃぎで、仕事に出掛ける裕樹さんを玄関先で見送った。
コロナ禍で変わった日常を前向きに過ごした。梨奈さんはオンライン会議アプリの「ズーム」を初めて使ってお茶会を開き、友達と近況や悩みを語り合った他、通販や講座の受講などにも活用して視野が広がった。力也ちゃんも自宅の周辺で遊ぶうちに、他の幼稚園に通う近所の子どもと仲良くなり、「たくさんの友達と遊べるのが楽しい」と喜んだ。
6月から力也ちゃんの幼稚園が再開し、裕樹さんの勤務時間も元通りに。梨奈さんは「時間を持て余しているような感じもする」と苦笑いしつつ「園再開で余裕が出てきた。家事を早く終わらせて長男と遊ぶ時間もできている」。子育ての時間は減ったが、より濃密な時間を過ごしている。(小玉凜)