新型コロナウイルスの影響で苫小牧市内の小学校体育館の開放が再開できない状況が続いている。5月下旬から再開した公共スポーツ施設と比べ、市の学校開放事業に供する体育館は消毒などの対策確立が難しい側面があるためで、小学校施設を主な練習場としてきたバレーボールやミニバスケットボールの少年団関係者から苦慮する声も聞こえる。
小学バレーボール少年団の泉野VCは、2月下旬から活動拠点にする泉野小体育館の一般開放が利用できない状況だ。現在、週4回ほどの活動はもっぱら屋外。「少しでも屋内の条件に近づける形で練習しているが、それにも限度がある」と滝ひろみ監督は言う。
今月7日の日曜日。同小体育館や校舎に囲まれた「中庭」と呼ばれる場所で、団員14人が練習に励んでいた。晴天に恵まれた一方で風が強く、重さ200グラム程度の小学生用4号軽量球はまともに影響を受けた。サーブの打ち込み一つにしても「ボールの狙いが風でずれてしまう」と佐藤柚夏主将(澄川小6年)は苦笑いするしかなかった。
泉野小の協力で中庭をなんとか確保できたが、土の上に縦18メートル、横9メートルの白線を引いてコートに見立て、ネットは団員の保護者が所有する練習用の小型ネットで代用。1個5000円近くするボールを傷や汚れが付きやすい屋外練習に使わざるを得なくなった。
同チームでは最寄りの公共体育館も利用しているが、同一施設での専用貸し切りは月2回まで。疾病感染防止の観点から学年ごとに活動時間を分けるため、利用が長くなって料金は高くなる。6月の小学校再開と同時に体育館も使用できるようになると期待しただけに、滝監督は「3カ月以上も満足な練習ができない。大半の選手が大きく技術を落としている」と嘆く。
苫小牧緑小2~6年生の児童14人が所属する緑小ミニバスケットボール同好会は、4月中旬に練習を再開した直後、緊急事態宣言を受けて活動を再度休止した。今月5日、市総合体育館メインアリーナのバスケットコート1面を貸し切りで使用し、約1カ月半ぶりの練習を実施。児童は接触を避けるため、パスやシュート練習を中心にスキルアップを図った。
同チームは2月まで、緑小体育館で週5回程度の練習日を設けていたが、現在は週1、2回に減少。市内の公共体育館やコミュニティーセンターを借りている。
チームのガード、吉田柊翔主将(6年)は「場所が変わっても違和感はないけれど、練習日が少なくなるのは残念」と話す。
苫小牧市の場合、小学校体育館は小学生が所属する団体の利用については無料。公共施設の利用料金は1回当たりおおむね1000円必要で、昨年度活動費決算の繰り越しから捻出した。体育館が校区外にあれば保護者の送迎も必要となる。同校教諭で緑小ミニバスケの長谷部裕也監督は「小学校の体育館が利用できなくなり、チーム全体の負担が増えた。公共施設を借りると練習終了が遅くなることもあるので団員の疲れがたまらないように気を付けたい」と語った。
小学校体育館の開放事業を所管する市教育委員会生涯学習課は「施設や用具の消毒方法の確立や学校教育への影響が及ばない環境を整えた上で事業を再開する」としている。同課は消毒方法のマニュアル化などの準備を進めており、開放の再開は7月以降になる見通しだ。