胆振を含む道内一部の地域で1日、河川内のヤマメ釣りが解禁された。新型コロナウイルスの外出自粛要請も明け、待ちに待った釣行を計画している太公望も多いのではないだろうか。今回、釣り倶楽部担当記者はヤマメ釣り解禁後間もない記者の古里・上川管内の大雪山系に遠征。山間部の河川で美しい渓流魚たちに出合った。(全2回)
■山間部で渓流釣りに挑戦
同管内上川町から十勝管内上士幌町へつながる道道を車で走っていると、山間部を抜けた先に雄大な大雪湖が姿を見せた。湖の周囲には大小さまざまな支流河川が存在する。そのうち一つを入渓場所に決めた。
記者はもともと川が釣りキャリアのスタート。特に山奥の源流で、2メートル未満の短い「延べざお」を使った餌釣りが好みだ。今回も数年ぶりに延べざおの釣りに挑戦した。2・7メートルのさおに0・4号のナイロンライン、針は少し小さめの4号のヤマメ針を使い、餌にサシを選んだ。重りのがん玉は、実際に川の流れを見ながら餌がゆっくり沈む程度(0・2グラム前後)を選択。魚の警戒心が強いことから、一般に使われる渓流釣り用の「目印」は外し、さお先だけで当たりを取ることにした。
入渓地点から上流へ歩き進んで行くと、山の斜面に沿った支流や源流が姿を現す。源流は川幅がわずか1メートルほどで、コケをまとった大小さまざまな岩に挟まれた、まさに”清流”の雰囲気だ。
■色鮮やかな渓流の宝石「オショロコマ」
すぐに仕掛けを組んで釣り始めた。段差による流れの落ち込みへ、静かに餌を送り込む。基本は、少し上流側から流れに乗せ、狙いの場所を長く通るよう意識。2~3回繰り返して反応がなければ、次のポイントへ移動した。
数カ所目で、岩陰付近を餌が通った瞬間”グッ”という強い当たり。弓なりとまではいかないものの、手元に伝わる小気味よい引きを楽しみながら上がってきたのは、体長20センチほどのイワナの一種「オショロコマ」だった。
全体的に浅黒い魚体の腹部は、特徴的な美しい”だいだい色”に染まっている。側面にはサケ科特有のパーマーク(小判型の模様)がうっすらと浮かび、朱色の斑点がちりばめられた姿は、まさに「渓流の宝石」。日本国内では、北海道の一部地域にしか生息していない珍しい魚でもある。
その後も、数カ所のポイントでオショロコマを釣り上げた。いずれも体長20センチ前後の小型が中心。貴重な資源のため、撮影後にはすぐリリースした。
■安全最優先で、細心の注意を
入渓後、しばらく釣り進んで行くと周囲に異臭を感じた所があった。辺りを見回すと、白骨化した動物の死骸だ。50センチほどの角が着いた頭蓋骨はエゾシカであることを物語っている。一帯はすべてヒグマの生息域だ。死後かなりの時間が過ぎているとみられるが、安全が最優先。釣りを切り上げ、次の目的地へ移動した。
■事前のルール確認を
道内は一部地域でヤマメ釣りが解禁する一方、禁漁期間中の地域も混在する。詳しい規則は道庁漁業管理課ホームページにある「フィッシングルール2020―Rule&Manner」などで確認してほしい。