小中学校は2月27日に臨時休校を開始。4月6日から8日にわたり再開したが、同20日から再び休校している。休校中に分散登校も行われているが、児童や生徒の健康状態を把握するため、授業日数に含まない登校日もあった。市教委によると、各校の指導計画で多少の異なりはあるが、2月からの累計で小学校は約220時間、中学校は約250時間が不足している。4、5月は26日間休校した。
苫小牧ウトナイ小学校(丹野靖彦校長、児童865人)は今年度、臨時休校に伴う授業時間の不足は、1年生で99時間、5・6年生で145時間で、6月以降に不足分を取り戻す必要がある。一方で今年度は感染防止の観点から、市教委が全校の運動会や体育祭の中止を決めたため、同校も運動会関連で20時間以上が浮く計算。参観日やクラブ活動の中止などで、10時間ほどが確保できる見通しだが、不足分がすべて埋まるわけではない。
さらに丹野校長は「年間指導計画の組み替えも必要になる」と話す。理科の観察学習など時期を変更しづらい授業もあるが、家庭科の調理実習を2学期以降に遅らせるなど、児童の安心・安全を最重視して授業を組み立てている。前年度で学び切れなかった学習を、新しい学年の関連分野の学習に組み入れるなど、学習の遅れに対する配慮にも気を配る。
休校中は宿題で予習を促しており、授業再開後を見据えて「振り返りを入れながらなど工夫しなければ」と強調する。4月から無料通信アプリ「LINE(ライン)」を活用した保護者連絡を始めているが、今後は家庭で保護者が児童に勉強を教えるポイントなども発信する。6月中には今後の指導方針も保護者に伝える予定だ。
文部科学省は学習の遅れについて、小学6年・中学3年以外は複数年度での解消を認めているが、道教委は26日付で「児童生徒の負担に十分配慮した上で、今年度中に学習指導要領に示された内容を終えること」を各市町村教委に通知。市教委も年度内の完結を軸に、夏休みの短縮などを検討しており、6月中にも結論を出す見通し。瀬能仁教育部長は「6月に学校が再開し、長期休暇を短くしたとしても、年度内に予定授業が終わるかどうか」と懸念しつつ「長期休暇の短縮や授業の切り替えなど対応しないと」と話している。
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新型コロナウイルスの感染拡大により、苫小牧市の小・中学校、高校、高専、大学も臨時休校が続いたことでさまざまな影響が出ている。教育の現場でどのような課題が挙がり、関係者がどのように対応しようとしているのかを探る。随時、掲載します。
新型コロナウイルスの影響により、苫小牧市内の小中学校は臨時休校が続いたことで、授業時間の確保に苦慮しそうだ。6月1日に予定通り再開しても、今年度の授業時間は小学校で平均約130時間、中学校で同約150時間が不足。子どもたちの学習遅れへの対応、指導計画の変更など課題は山積みだ。一方、道教育委員会は授業の不足を年度内に解消するよう、26日付で各市町村教委に求め、苫小牧市教委は夏休みの短縮を検討している。(高野玲央奈)