新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の全面解除などを受け、苫小牧市の繁華街も少しずつ活気を取り戻している。外食を自粛するムードは依然として根強く、コロナ以前のにぎわいを取り戻すまでにはなお時間を要する見通しだが、各店はアルコール消毒の徹底など感染対策に万全を期しながら客足の本格的な回復を待つ。
26日午後6時すぎ、大町の居酒屋呑味亭。カウンター8席と小上がり3卓の店内には常連客の男性2人が焼き鳥やビールなどを味わい、店長の竹内明子さん(53)と談笑する光景が広がった。
市内弥生町の男性会社員(67)は国の緊急事態宣言が25日に解除されるまで不要不急の外出を控えていたといい、約1カ月ぶりの来店。「一番最初に行こうと決めていた。『レバ焼き』がおいしい」と笑顔を見せた。
店は4月23日から休業していたが今月16日、換気やソーシャル・ディスタンス(社会的距離)などの感染防止策を徹底し、営業を再開。4月の売り上げは前年同期に比べ7~8割減少した。竹内さんは「緊急事態宣言が解除されても人の動きは少ない」と話した。
大町の「IZAKAYA草―SOU―」も4月12日から今月17日まで休業し、18日に営業を再開。7年ほど前にオープンして以来、長期休業は初めてという。新たにテークアウトを始めたが、店主の佐藤伸也さん(35)は「売り上げは前年の半分以下。それでも、常連客に来てもらえるのはありがたい」と感謝を忘れない。
営業時間を従来の午後11時から同10時に短縮。客席の間引きなどコロナ対策に細心の注意を払い、営業を続ける。
錦町の屋台通り錦町横丁内にあるワイン酒場「ケセラ」は、道が午後7時以降の酒類提供を自粛した飲食店に10万円を支給する方針を打ち出した4月下旬から、ランチ営業を始め、急場をしのいできた。
16日に午後7時以降の営業を再開させたが4、5両月の売り上げは前年の半分以下。厳しくても混雑が見込まれる場合は、入店を断るなど感染予防を最優先させている。
店主の星澤誠二郎さん(50)は「店を開けていないと、繁華街が寂しくなる。できることをやって、新しい生活様式に対応した基盤を築きたい」と前を向いた。