小学校4年生に進級した長男も、始業式よりわずか9日間で、新型コロナウイルス感染拡大防止のため臨時休校となり、自宅学習に取り組んでいます。真新しさ残る理科の教科書をのぞかせてもらうと、人や動物の骨や筋肉のつくりを紹介しているページを見つけました。そこで、おうち時間を利用し、息子と一緒に骨観察をすることにしました。
まずは、夕飯のおかずを準備します。今回は鶏の手羽元と手羽先の煮込み。鳥が空を飛ぶ際に重要な翼の部位を選びました。料理が完成すれば作業開始です。最初に骨の回りに付いているお肉をおいしく頂きます。この際、なるべくきれいにお肉を外しておくことがポイントです。
取り切れなかった肉片はぬるま湯の中で指や歯ブラシを用いて丁寧に落とします。そして、骨に付着する微細なたんぱく成分を溶かして除去するため、家庭用の漂白剤に数分間浸します。この際、漂白剤が直接手に触れぬようゴム手袋を着け、換気もします。うっかり長く漂白剤に浸してしまうと、骨まで溶けることがあるので要注意です。そして十分な水洗いと乾燥が終われば完成です。
さらなる仕上げとしてアセトンを用いて脂抜きをしたり、オキシドールで骨の白さを際立たせたりすることもできますが、簡易的な標本であれば、この工程は省略しても構いません。
そして、いよいよ骨の観察です。今回用いた手羽元は上腕骨(人でいうと肩から肘までの骨)で、手羽先は橈(とう)尺骨・手根骨・指骨(人でいうと肘から指先までの骨)で構成されており、おのおのの骨の大きさや形状の違いを見ます。
次に骨を持ち、軽さを実感します。鳥類の体は飛翔(しょう)を可能にするために軽量化を極めており、骨も非常に軽くできています。人の骨の重量が体重の約20%に対し、鳥類ではわずか5%しかありません。
その証しに骨を割って内側を見ると一目瞭然です。中は空洞になっており、骨の密度が哺乳類に比べてかなり小さく、軽さを実現しています。しかも、ただ軽いだけでは衝撃に弱いので、強度を補うために骨の内側には針のような細い骨が張り巡らされており、強靱(きょうじん)さをも持ち合わせている様子も観察できるのです。
見てよし、持ってよし、割ってよし。馴染みの食材でも、ちょっと視点を変えれば立派な教材です。おうち時間の過ごし方の一つとして、参考にしていただけたらと思います。
(ウトナイ湖野生鳥獣保護センター・山田智子獣医師)