北海道に出されていた緊急事態宣言が25日に解除され、休業要請も大幅に解除されたが、苫小牧の経済界には期待と不安が交錯している。岩倉博文苫小牧市長は「ウイルスとの共生のステージに入った」と述べた。
市商店街振興組合連合会の秋山集一理事長は「人命第一の宣言と自粛で、感染拡大防止にある程度効果が出た。経済を立て直す動きは歓迎したい」とした上で、幅広い業種にコロナの打撃が及んでいることを改めて強調。「商店によっては休業中で、国の支援策が行き届いていない。施策はスピード感を持って実施してほしい」と注文を付けた。
「景気のV字回復はあり得ない」と語るのは、苫小牧商工会議所の森本恭行専務理事。国の経済対策に一定の評価をしながら「地域の事業者から経営に関する相談が相次いでいる。相談会開催などを通じ、ニーズに対応していく」と話した。
苫小牧ホテル旅館組合の佐藤聰組合長は「宣言が解除されても、自粛マインドは抜けずあまり変わらない」と冷静。本州から道内への出張やスポーツ合宿の減少は当面続くとみており、「安心して観光ができるようになるのは1年後になるだろう」との見方を示した。
苫小牧観光協会の藤岡照宏専務も「すぐに観光客は増加しない」と指摘。「道内はまだ警戒を緩められる状況にない。新しい生活様式が根付き、段階を踏んで人の移動が増えていくのでは」と語った。
岩倉市長は緊急事態宣言期間の市民や事業者、医療従事者らの協力に感謝しながら「一日も早く、日常に戻れるよう努める」と強調。国の2次補正予算案の動向も注視し、「スピード感をもった対応をする」と述べた。感染拡大の防止については「苫小牧圏の医療体制は整っているが、まだ油断はできない。市民一人ひとりの理解と協力が不可欠」と話した。