「感染症が拡大し、不安がある今こそ、子どもにとって親と居る時間が大切。何より安心を与えてあげられると思う」。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、苫小牧市内の各学校も臨時休校が続く中、苫小牧市明野新町の加藤香奈さん(35)は、一人娘の美唯(みゆい)さん(8)と過ごす時間を貴重に感じている。母子家庭で普段は仕事に追われ、2人で一緒にいる時間は少なかったからだ。
香奈さんは市内の運送会社で、事務職のフルタイムで働いてきた。2月に感染症が拡大し、臨時休校が始まった当初、美唯さんは実家で両親が面倒を見てくれた。新学期に学校が再開したが、またも臨時休校になり、休みが長くなったことで、美唯さんが寂しがるようになった。会社に相談したところ、時差出勤や勤務形態の変更に快く応じてもらえた。2人でいられる時間が増えた。
美唯さんは午前と午後に1時間ずつ家庭学習に取り組み、勉強が終わればお菓子作りやDVD鑑賞、ガーデニングなどを一緒に楽しむ。「時間割のような時間まで決めていないけど、生活リズムを崩さないように生活している」と香奈さん。習い事の水泳やダンスも休みになったため、自宅付近でバドミントンなどをして体も動かす。
美唯さんは「学校で友達とたくさん遊びたいし、スイミングも早く楽しみたい」と学校再開を待ち望みつつ、「いろんなことを一緒にできるようになってうれしい」とはにかむ。香奈さん自身もコロナで先行き不安な現状や、外出自粛続きで気分が落ち込むこともあるが「子どもと過ごす時間が増えたことをプラスに捉え、毎日楽しく過ごすようにしている」と強調。コロナで新たな日常の在り方を模索しながら「母子家庭がより働きやすくなる制度ができれば」と望んでいる。(松原俊介)
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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、苫小牧市民の生活も様変わりしている。「変化」に注目したリポート「変わる日常」の市民生活編を毎週月曜に掲載する。