「学習面はそんなに心配していないけど、運動不足や遊べないことは影響が大きそう」。苫小牧市ウトナイ南の佐々木美沙希さん(33)はウトナイ小学校の臨時休校中、友達ともなかなか会えず、外遊びが減った3年の陽斗君(8)、1年の結香さん(7)を心配そうに見詰めた。生活リズムを崩さないよう過ごさせているが、学校に行けない影響がじわじわと出ている。
休校中の陽斗君の日常。午前6時前には起床し、同7時ごろに朝食を取る。同9時ごろから勉強を始めるが、その日の天気次第では時間をずらす。天気予報が午後から雨の日などは、自宅周辺で外遊びの時間を優先する。スポーツ漫画を見るのは夕方に1時間まで。午後8時ごろまでに就寝する。一見すると規則正しい生活だ。
しかし、生活習慣におのずと変化は出ている。家庭学習は20~30分で終わり、学校の授業と比べて椅子に座り続ける時間は短い。学校の宿題は復習が中心のため簡単に終わり、予習も「親が教えるのには限界がある」。スマートフォンやタブレット端末はこれまで、極力触らせないようにしていたが、学習支援サイトも積極的に活用している。
家の中で過ごす時間が増えたため、テレビや動画投稿サイト「ユーチューブ」も見たがるようになった。遊ぶ場所は家の周りが中心で、公園で友達と過ごすような機会も少ない。「運動不足になると寝付きも悪くなる」と懸念し、「学校がなくて家にずっといるのは限界」。陽斗君も「学校で先生に教えてもらって、みんなと勉強するのがいい」、結香さんも「友達と遊びたい」と訴える。
臨時休校の長期化で、学校生活のすべてを家庭が肩代わりする状況とあって、生活リズムも緩くまちまちになりがち。「巣ごもり」の時間も長くなることで、運動量やコミュニケーション力の低下など影響は多岐。各学校は分散登校など機会を捉えながら、児童や生徒の「休み中の過ごし方」の指導に力を入れてきた。
糸井小の南舘進教諭(49)は2年生の授業で「毎日の勉強、運動、お手伝いの目標を立てるところから始めて。宿題もまとめてやらないで1日1枚解いて」と生活習慣の大切さを強調する。21日から分散登校が本格化する中、泉野小で2年生を受け持つ千葉秀幸教諭(49)も「児童の表情を一番に見ている」と子どもたちのささいな変化も見逃さないよう注視する。
市教育委員会の瀬能仁教育部長は「生活リズムが崩れている子どもはいると思う。今の状況では家庭にお願いするしかない」と理解を求める。以前のような普段の学校生活を取り戻せるか、分散登校の拡充がまずは試金石になりそうだ。
(高野玲央奈、金子勝俊)