帝国データバンク札幌支店が4月16~30日に実施した新型コロナウイルスに対する道内企業の意識調査で、自社の業績について「マイナスの影響」を見込む企業が86・5%に上った。3月の前回調査に比べ8・4ポイント上昇し、感染症の影響が拡大している。自社が事業を継続する上で重要なことでは、「従業員の健康管理」がトップとなった。
86・5%のマイナスの影響の内訳は、「既にマイナスの影響がある」が45・5%、「今後マイナスの影響がある」が41%。
マイナスの影響があると見込む企業の業界別では、「農・林・水産」が100%で最多。以下、「卸売り」(90・8%)、「小売り」(90・6%)、「サービス」(87・7%)、「製造」と「金融」(共に85・7%)の順。全ての業界で8割以上となった。
企業からは「外食産業の休業や観光産業の低迷から農畜産物の販売は大きな影響を受けている。通常通りの作付けを行っているが、価格低迷が懸念される」(農・林・水産)、「外出自粛、宴会・パーティー開催自粛の影響から売上高は半減している」(食料・飲料卸売り)など不安の声が多数挙がっている。
自社が事業を継続する上で重要と考えていること(複数回答)は、「従業員の健康管理」が74・9%で最多。これに「従業員の雇用継続」(57・2%)が続き、企業の多くが従業員の「健康と雇用」を第一に考えていることを浮き彫りにした。
一方、重要と考えながらも対応できていないこと(複数回答)では、「在宅勤務の推奨」が31・7%でトップ。以下、「労働時間の変更」(21・2%)、「コスト削減」(16%)の順。
企業からは「ワクチンの開発など根本的な解決がなされないと、どうあがいても効果が少ないので、社内体制の強化など正常化後を視野に準備している」(保険媒介代理業)、「正規・非正規を問わず、雇用維持に全力を傾けている。収束後を見据えると、少子高齢化による労働力不足要因は変わらないと考えている」(人材派遣・紹介業)といった声が聞かれた。
また、「テレワークの準備をしている。緊急事態宣言に伴う企業のテレワーク化投資への支援や報奨金、減税措置が必要」(ソフトウエア業)との意見も出ている。
調査は道内企業1130社を対象に実施し、586社から回答を得た(回答率51・9%)。
自社の事業の継続で重要なこと
(複数回答)
順位 内 容 割 合
1 従業員の健康管理 74.9%
2 従業員の雇用継続 57.2%
3 事前(現時点)の資金繰り計画49.7%
4 コスト削減 41.3%
5 労働時間の変更 35.2%
6 他社との情報交換・情報共有 31.4%
7 既存事業の強化 30.2%
8 在宅勤務の推奨 27.5%
9 新たな休暇の創設 19.5%
10 仕入れ先の分散 17.1%