新型コロナウイルスの影響で苫小牧のスポーツ団体の練習が滞る中、動画配信サービスを駆使する試みが広がっている。インターネットを活用して技術向上のための情報共有を図ったり、モチベーションや絆の維持へ役立てようとしたりする取り組みが見られる。
市内の空手道場、優至会塚本道場(塚本鉄兵代表)は、動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」のチャンネルで、トレーニング講座などの動画投稿を精力的に実行中だ。同会は全道11地区に道場を展開。今年1月、優至会のチャンネルとして「優TUBE」を開設。春からは感染症対策として門下生が道場に集まる稽古が停止していることもあって、すでに40本以上の動画がアップされた。
動画では道場の師範や門下生が出演し、自宅でもできる技の練習やサーキットトレーニングの方法を紹介。優至会所属として2015年11月に愛知県で開かれた第3回全日本ジュニアチャンピオンシップ空手道選手権大会(国際空手道連盟極真会館世界総極真主催)以来、今年1月までに各団体が催した全国級3大会を制覇した王者4人が、それぞれのテクニックや練習法を紹介する動画もある。
塚本道場の伊勢天翔(青翔中2年)もその一人。伊勢は1月に愛知県で開かれた第7回全日本ジュニアチャンピオンシップ中学1年男子重量級で優勝した。6日に投稿された動画で伊勢は、内回し蹴りのこつや自宅でできる体幹トレーニングなどを紹介した。伊勢による実演のほか、栄冠を獲得した試合の様子も続く。
電話取材に応じた伊勢は「試合で使えるテクニックを知ってもらえれば。今は自主練しかできないと思うが、道場での稽古が何よりも重要なので、早く再開してほしい」と話す。塚本代表も「伊勢は後輩らに『いつかは勝てる』という希望を与えてくれた。伊勢は稽古で強くなったので、動画を通じて道場の稽古が大事だということを認識してほしい」と語った。
インターネット交流サイト(SNS)を使った取り組みはサッカーのASC北海道が進めた。今月から「フェイスブック」のアカウント上で、リフティングの動画をアップする「ASCチャレンジ」を展開中だ。
クラブとして活動休止中にできることを―とU15の山岸寛コーチが企画した。13日時点で、15歳以下の所属メンバー47人のリフティング技などを収めた動画がアップされた。
このところの情勢で練習場に集まれない選手間の心のつながりを維持することが難しくなったが、個々のリフティング動画のアップを通じて、遠隔の画面上ながら一定の交流に役立てたい考えだ。徳田恒徳理事長は「みんな積極的にやってくれている。外に出て体を動かしてもらうことも目的の一つだったが、みんなで一つのことをやって共有することができた」と語った。