鈴木直道知事は13日、臨時記者会見を開き、新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした休業要請などの緊急事態措置の見直しを発表した。当面、15日までとしていた休業要請は、全道一律から振興局単位に変更。札幌を中心に感染拡大が続く石狩管内は今月末までそのまま継続し、他の管内では16日から一部を解除する。今月末まで延長する休業要請に応じた事業者には、新たに10万円の支援金を給付するなど追加支援策も示した。
政府は14日に緊急事態宣言の一部解除を発表する見通しだが、「北海道の解除は難しい」と知事が判断。「特定警戒都道府県」の指定が継続されることを想定し、前日に休業要請の見直し内容を公表した。
知事は直近2週間(4月29~5月12日)の新規感染者数と経路不明患者発生数のデータを示し、札幌圏を中心とする石狩管内が「全道の9割以上を占めている」と指摘。休業要請の一部解除については▽1日の新規患者数が10人以下▽1日の経路不明の新規感染者数が3人以下(いずれも直近1週間の平均値)―を基準とし、石狩管内を除く他の管内が「こうした基準を満たしていると判断した」と理由を説明した。
16日から、石狩管内を除く他の地域では、床面積の合計1000平方メートル以下の各種商業施設や博物館、美術館などの休業要請を解除。午後7時以降の酒類提供自粛を求めていた飲食店についても、協力依頼を解除する。一方、ナイトクラブやカラオケボックス、パチンコ店などの特措法に基づく施設については、全道で今月末まで引き続き休業を要請する。
16日から休業要請を延長することに伴う事業者への追加支援策も発表。道は15日までを期限とする要請に応じた事業者に支援金として10万~30万円を支払うが、今月末までの期間延長に協力した事業者に新たに10万円(札幌市内は同市が5万円負担)の支援金を追加支給。休業要請の対象外でも「売り上げが大幅に落ち込んだ事業者」に5万円を支給することを決め、国の持続化給付金に上乗せする。
知事は「前回の支援金は約73億円、対象は約3万6000事業者だったが、今回の対象事業者はその倍ぐらいになる」と見通しを示した。その上で「臨時交付金の残りをすべて費やしても足りない。財政調整基金活用や国に臨時交付金の飛躍的増額を求めるなどして何とかひねり出したい」との姿勢だ。
今月末までに「全道で目指す姿」も発表。(1)1日の新規患者数10人以下(直近1週間の平均値)(2)1日の感染経路不明の新規患者数3人以下(同)(3)入院者数250人以下(宿泊療養を除く。その後、次の波に備え150人以下)―の3点を目標値に掲げた。今後、要請をさらに緩和する際の参考にする。直近のデータ(6~12日)では(2)は3人と目標をクリアしているが、(1)は12・6人、(3)は349人と目標からは遠い状況となっている。
知事は16日以降についても「札幌との往来自粛」と「生活の維持に必要な場合を除き、外出自粛」を継続して道民に要請。「徹底して取り組まなければ、感染が札幌から全道にまん延していく」と強く訴えた。