新型コロナウイルス感染の世界的な広がりが、苫小牧市民のスポーツ活動にも影を落としている。市内公共施設で前例がなかった閉鎖が続き、さまざまな種目の愛好者やサークルの練習・試合場所の確保が立ちゆかなくなった。この春は健康増進や生きがいのためだったスポーツも停滞を余儀なくされた。
総合型地域スポーツクラブのPROVOCATOR苫小牧は4月上旬から活動を停止中。同クラブでは、小学1~6年生約20人が参加するスポーツトレーニングクラブ(STクラブ)の指導を担ってきた。
STクラブでは、リズム感覚やバランス能力などを鍛えるコーディネーショントレーニングを展開。複数人が腕を組んで協力して立ち上がる―といった道具を使わない遊びやドッジボールなど、体を動かす喜びの習得を体系的にプログラム化。このところの自宅待機期間が増えることで、星野いくみ代表は休眠状態の長期化を懸念し、「クラブには運動が苦手な子も多い。一度克服していたことも、元の状態に戻ってしまわないか心配」と話す。
PROVOCATOR苫小牧が他にも運営するミニバスケットボールやタグラグビーチームの練習も停止中だ。小学校体育館が主な活動場所となっており、使用再開のめどが立たない状況が続く。星野代表は「活動を再開できたとしても、今までと比べて活動日数は激減すると思う」と語り、事態の収束に願いを込める。
生涯スポーツとして人気が高いスポンジテニスの愛好者もコートから離れざるを得なくなった。北海道の緊急事態宣言が出た後の4月1日には活動場所の市内公共スポーツ施設がいったん開放された。苫小牧スポンジテニス協会によると、少人数で利用者同士の間隔を広げるなどしてプレーを楽しめた期間があった。
国の緊急事態宣言を受け、同月20日に施設が再度休館し、予定していた今年度の大会開催も未定となっている。同協会の大宮栄事務局長は「スポンジテニスは愛好者の生活に根付いていたと実感している」と言い、「急にコロナウイルスの影響が出てきて、大会はおろか練習も十分にできず困惑した」と率直だ。
障害者スポーツへの影響も深刻だ。選手8人が在籍する苫小牧車いすバスケットボールクラブは、3月から活動できていない。同チーム選手で会計を兼務する石丸実輪さんは「練習から1、2カ月離れると、元の調子を取り戻すのが難しくなる可能性がある。この影響で引退を考える人も出てくるだろう」と危惧する。
これまで苫小牧市福祉ふれあいセンター体育館で週に1回練習してきた。石丸さんは「健康維持のためなのはもちろん、仲間と顔を合わせる貴重な機会だった」と新型コロナ禍以前の活動の様子を振り返る。
同チームは年に5、6回、全道規模の大会に出場したが、今年度はすべて中止と決まった。石丸さんは「試合に向けて練習を頑張ってきた。その成果を発揮する場がなくなり、メンバーはストレスを感じていると思う」と語った。