消毒用品フル生産 アルコールや除菌剤需要高まる 合同酒精と北海道曹達 新型コロナ

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  • 2020年5月12日

  新型コロナウイルスの感染拡大を受け、合同酒精苫小牧工場(苫小牧市弁天)で工業用アルコールのフル生産が続いている。消毒用需要が高まっており、2月以降の出荷量は前年同月比2倍で推移。基礎化学品メーカー、北海道曹達(本社苫小牧市沼ノ端)の幌別事業所(登別市)でも除菌消臭剤の注文が殺到し、3月の製造量は同40倍で、4月も30倍。各工場とも当面、フル稼働が続きそうだ。

   合同酒精苫小牧工場は24時間体制で年間330日、工業用や酒類用のアルコールを年間で計5万キロリットル生産している。新型コロナの感染拡大に伴う除菌需要の高まりで2~4月は、工業用アルコール出荷数量が前年の約2倍となった。

   合同酒精(東京)は昨年秋、清水工場(静岡市)に新蒸留器を導入。工業用アルコールの生産量を1・5倍に高めたがアルコール製剤メーカーなどからの引き合いが強く、従来の設備もフル稼働させ、急場をしのぐ。

   4月中旬には厚生労働省の要請を受け、消毒用エタノールの安定供給へ特定発酵アルコールの供給を行うことを発表。苫小牧工場と清水工場で度数95%のアルコールを月1万8000リットル(18リットル缶1000本)増産する計画だ。

   増産されたアルコールは、8日に出荷を開始。厚労省を通じ、医療機関などに供給されている。苫小牧工場では月1800リットル分の製造を請け負うが、同社コーポレートコミュニケーション室は「5月に入っても消毒用アルコールの需要は高い」と言う。

   成分が不純物を取り除いた超純水と食品添加物認可を受けた次亜塩素酸ナトリウムのみという、北海道曹達の除菌消臭剤「ZiaSafe(ジアセーフ)」のニーズも急増。ウイルス、菌、ダニや花粉のアレルゲン、カビ、臭いのもとに作用して無力化、抑制効果があるといい、苫小牧市内のガソリンスタンドや札幌市の小売店などで飛ぶように売れている。

   工場がある同社幌別事業所(登別市)によると、生産量は2月が前年同月比24・3倍の9700リットル、3月は42・8倍の1万9700リットル、4月は30・4倍の2万400リットルと増加傾向。設備を改良したり、従業員が休日出勤するなどし、増産に対応。今年の売上高は3月までで、前年の3・5倍に達しているという。

   一方、スプレーの部品を中国から輸入しているが、新型コロナの影響で品薄となり、納期が遅れている。同事業所の新岡仁所長は「全国各地から注文が寄せられている。5月以降も高い需要が見込まれ、人海戦術で対応したい」と話している。

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