新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が延長され、苫小牧市内の飲食店も悲鳴を上げている。休業要請の対象外である飲食店は、道と市で最大30万円の支援金を受け取るための協力期間が延びた。道が当初の6日から15日まで延長した休業、外出自粛の要請期間と連動しており、感染防止対策で営業時間を短縮したり、午後7時以降のアルコール提供を中止したりして「6日まで頑張れば」という思いだった各店からは「もう限界」「いつまで耐えればいいのか」といった声が聞こえてくる。
錦町の焼き肉店、久保屋は道などの要請内容を踏まえ、4月26日から営業時間を30分間短縮し、午後4時半~同9時に前倒した上、同7時からアルコールの提供を中止した。本来は午後6時~11時の営業で、「夜にお酒を出さないと売り上げが厳しい」と経営者の久保真一さん(32)。アルバイトスタッフ4人を休ませ、同店2階のバーも休業を余儀なくされている。
持ち帰りや宅配に力を入れて需要に応えているが「店で食べてくれる客が1日1~2組の日もある」と肩を落とす。営業時間短縮などは、15日まで延長するが「なかなか区切りを付けるのは難しいだろうけど、飲食店が頑張れるよう『このぐらい協力して』と丁寧に説明することも必要」と訴える。
港町のぷらっとみなと市場にある「浜っこラーメンけんたろう」は、市が支援金の給付要件として定める感染防止対策のうち、営業時間の短縮を実践してきた。4月の緊急事態宣言を受け、観光客の利用や平均単価が激減したためだ。午前7時~午後4時の営業時間を4時間短縮して午前9時~午後2時としているが、オーナーの鮭川幸枝さん(45)は「ゴールデンウイークは半減どころではなかった」と打ち明ける。
自粛営業は継続するが「周辺で働く人たちの利用も多く、緊急事態宣言が延長されても営業は続ける」と強調。「パートも働く時間が短くなったが、なかなかそこまで支援が回らない。みんなの生活のために何とかしてほしい。このままでは限界」と語る。
泉町のそば店、一生庵も営業時間の午前11時~午後2時を、同0時半まで短縮している。河野則康店主(72)は「1日2~3人の来店で『もうきょうは店じまい』という日もある。今は、昼時をちょっと外してくる人に利用してもらえない。自分は1人で店を切り盛りしているから、取りあえず『このままいくしかない』と思っているが厳しい」と疲れた表情で語った。