新型コロナウイルスの緊急事態宣言が31日まで延長される中、休業要請の対象ではない飲食店や居酒屋では、感染防止へ最大限の注意を払いながら営業を続ける。外出自粛が強く求められる状況だからこそ、利用客には安心して食事してもらいたい―と、それぞれが工夫を凝らす。
苫小牧と千歳で直営4店舗などを展開する一休そば(本社苫小牧市有明町、早川陽介社長)は4月28日から、同町の一休そば総本店でボックス席、小上がり席のテーブル中央にアクリル板の設置を試験的に始めた。
アクリル板は厚さ2ミリで、縦50センチ、横70~90センチほど。店内の約20卓に設置し、客席の利用があるごとに従業員がアルコール消毒を行う。ときわ町から家族3人で来店したパート従業員、金武真実さん(32)は「食事中は(板が)あまり気にならないし、良い取り組みだと思う」と安心した様子。早川社長は「客の評判が良ければ、他店舗への導入も進めていきたい」と話す。
苫小牧、千歳、岩見沢でバイキングレストランを経営するイートアップ(本社苫小牧市柳町、田中等社長)では、店舗入り口にセンサー式の手洗い器を設置するほか、席への案内時に1テーブルにつき1個、アルコール消毒液の入ったスプレーを手渡している。客が席の消毒を自分で行うことができ、「安心して食べられる」と好評だ。
バイキングコーナーでは、料理を取り分けるトングを30分置きに交換するほか、大皿に盛り付け提供していた肉類を1人前ずつに分け、小皿ごと取ってもらう形式に変更。30分から1時間置きの換気も欠かさず行っている。
中善(本社苫小牧市表町、藤淳一社長)は市内に展開する4店舗のうち「3密」(密閉、密集、密接)のリスクの高い小規模の店舗2店を休店し、残る2店で営業を続ける。このうち表町の居酒屋「なか善」では、カウンター4席に縦約40センチ、横約60センチの発泡スチロール製のついたてを立てた。ボックス席を仕切る壁のわずかな隙間やレジ前にもビニールシートを設置するなど対策を徹底している。
また、3フロアの広大な店内を生かし、通常は混雑時しか利用しない完全個室の2階にも客を案内して密集を避ける。同社の谷英彰専務取締役(36)は「従業員の生活もあるので、休業するわけにもいかない。できる対策を行いながら、何とか乗り切っていきたい」と力を込めた。