日常

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2020年5月6日

  「新しい生活様式」が報道されている。新型コロナウイルスの感染を防止する対策の基本として、緊急事態宣言の延長に合わせて、政府から示された。

   子どもの頃、大人たちが「新生活運動」という言葉を使っていたことを思い出した。衣食住の改善や生活改善運動の総称。1955年、時の内閣が国民に実践を提唱したという。全国の婦人会や青年団が冠婚葬祭の簡素化や封建的な因習の打破など生活全般の合理化を目指して活動を繰り広げたそうだ。しかし高度経済成長の時代が来て、やがて運動は姿を消してしまった。主体的に関わった世代ではないこともあり、推奨された香典や結婚披露宴の会費がいくらだったのか詳細は覚えていない。

   さて、新しい生活様式。感染症対策専門家会議が提言したもので首相は「コロナの時代の新しい日常をつくり上げる指針」と、実践を呼び掛けた。毎朝検温、外出時のマスク着用、帰宅後の手洗い、買い物は少人数で素早く、バスや電車内の会話は控えめに―などほぼ実践できていることもあるが、人との距離を2メートル程度は空ける、どこで誰と会ったかを記録、食事は横並びに座って―などは、慣れるまでに時間がかかりそうだ。

   いったん猛威が収まっても、いつ再発するか分からないウイルスとの戦いが続く。有効な予防ワクチンや治療薬ができない限り忘れてはならない生活様式。体温を測りながら読み返してみた。(水)

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