国立アイヌ民族博物館をはじめとするウポポイの各施設は、アイヌ語が「第1言語」。解説パネルやサイン、音声ガイドは、日本語、英語、中国語など最大8言語に対応しているが、すべてアイヌ語を最初に記している。
「自動販売機」などアイヌ語に本来ない言葉も、アイヌ関係者や有識者らがワーキング会議を設けて検討。新語「イホク スウォプ」と命名。アイヌ文化の伝承にとどまらず、創造も掲げるウポポイの真骨頂だ。
博物館内は映像機器を用いた展示が目白押し。展示室につながる通路までもが「導入展示」の場となっている。アイヌの世界観が伝わるイメージ映像を、プロジェクターで壁面に投影し、訪れた人にアイヌとの出会いを演出する。
シアターの座席数はおよそ100席。250インチの大型スクリーンで、アイヌ文化を約20分間にわたって紹介する。放映プログラムは「アイヌの歴史と文化」「世界が注目したアイヌの技」の二つを用意した。
子どもから大人まで楽しめるよう工夫。シマフクロウやエトピリカなどの動物を通してアイヌ民族の歴史や文化を紹介したり、アメリカ、ロシア、イギリス、ドイツの博物館でアイヌ民族の資料が展示されたりする様子を流す。
至る所に最新技術を駆使する一方、豊かな自然を満喫できる趣向も。2階ロビーは縦約2・8メートル、横約50メートルのガラス面を設け、ポロト湖を大パノラマで一望できるように。1階も眺望を楽しみながらくつろげるスペースを設けた。
また、木材や壁面の石などに天然素材をふんだんに採用。アイヌ文様を効果的にあしらうことで、訪れた人がアイヌ文化と自然を感じながら、親しめるような仕掛けも施している。
メモ ウポポイの対応言語はアイヌ語、日本語、英語、中国語の繁体字と簡体字、韓国語、ロシア語、タイ語。各施設はバリアフリー、無料Wi―Fiにも対応している。