⑤スナック店主 管野はな子さん(31) 営業しないと生活できない、客足戻る日願う

  • コロナに負けるな, 特集
  • 2020年5月4日
繁華街に明かりがともる日を願う管野はな子店主

  客足が止まった苫小牧市錦町、大町の繁華街。「感染を防ぐため自粛は仕方のないことだけど、営業しないと生活ができない」。4月の政府の緊急事態宣言で、来店者は激減した。経営する錦町のスナック「ナイト・イン・ステラ」はスタッフ2人と切り盛りし、今年4月にオープンから5周年を迎えたが、客を呼び込むこともできなかった。同月20日には道の休業要請の対象となり、今は店を閉めている。「事態が収束し、自粛していた人たちが街に出てきてくれたとき、笑顔で明るく迎えられるように。その日に備えたい」と力を込めた。

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   新型コロナウイルスの感染が市内でも確認され始めた2月から、客足が徐々に遠のいた。道の緊急事態宣言が出されると、3月は団体客もなく、売り上げは通常の半分までガクッと落ちた。

   店内ではアルコール消毒や換気を励行。接客中はマスクができないため、首から下げる除菌グッズを使った。スタッフは自主的に検温などの対策を施し、同業者間で店を行き来して、情報交換しながらしのいできた。接客に感染リスクを感じながらも、生活のため店を開け続けた。

   4月になると、個人客も離れ始めた。客足は見る見る落ちていき、1日の来店者がゼロの日もあった。SNS(インターネット交流サイト)を使った割引サービスなども展開したが効果は薄く、通常の週末なら10組ほど見られた客足も、政府の緊急事態宣言後は急激に落ち込んだ。休業要請の期限ぎりぎりまで営業を続け、25日からやむなく休店した。

   感染拡大に伴い、繁華街を歩く人がどんどん減っていった。「同業者では1週間のうち2、3日開けたり、週末だけ営業したり、営業時間を短縮する店もあった。街を見渡すと、何度も周回するタクシーも見られた」と振り返る。休業要請が長引くことも予想され、「仕方がない」という思いと、収入を得なければ―という焦りが交錯する。

   店の家賃は、大家さんが4月分を半額にしてくれたが、固定費は店を閉めていても掛かる。事業者に対する支援金では「全然足りない」と困り果てる。

   非正規雇用のスタッフの生活も心配する。1人当たり10万円の特別定額給付金があっても、普段通りの収入には追い付かない。「スタッフには少額だが、補償金を出したい」と話す。

   「先が見えない状況を受け入れるしかない。前を向くのはまだ難しいけれど、繁華街に明かりがともり、客足が戻る日を切に願っている」と言葉をつないだ。

  (松原俊介)

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