④歯科技工士 渋川充さん(64)夫婦で義歯製作、健康管理を徹底

  • コロナに負けるな, 特集
  • 2020年5月2日
自宅敷地内に建つ工房「渋川デンタルアート」で義歯製作に当たる渋川さん※撮影のためマスクを外してもらいました

  「目立たない職種かもしれないが、歯がなくて困っている人の役に立っていると信じている」。苫小牧市桜木町の自宅離れに、入れ歯などを製作する工房「渋川デンタルアート」を構える。妻の千秋さん(64)も歯科技工士。2人で入れ歯や差し歯などの義歯を製作している。新型コロナウイルスの感染拡大が広がる中、ライフスタイルを変えずに仕事と向き合っている。

      ◇   ◇

   市内6カ所の歯科医院が主な取引先。歯科医院で作った歯型の模型を取りに行き、工房で半日以上を製作に費やす。総入れ歯であれば10日間ほどの作業。自宅にこもって作業することが多いため、一日に会う人は多くても7人。このため新型コロナウイルスの感染者が出始めた頃も「今ほどの切迫感や緊迫感はなかった」と率直に振り返る。

   3月に入ると、歯科医院を訪れるたびに事前の検温やマスク着用、消毒の徹底などの貼り紙が日に日に増えていった。紹介者や予約者だけを受け入れる医院や、トイレの使用を控える呼び掛けをする医院も。感染者を絶対に出さないよう、消毒はもとより使用済みスリッパを消毒液で拭くなど徹底。ビニールに覆われた受付に衝撃を受けた。

   「歯科医院の現場の先生や職員は、みんなとにかく頑張っている」。医院の努力に水を差すような結果を招いてはいけないと、基礎免疫力を高めることから始めた。食事には特に気を付けるように。ヨーグルトや蜂蜜、納豆、ニンニクなど体に良いと思われる食材を昼夜の献立に取り入れた。

   日々の手洗いやうがいはもちろん、食事や睡眠にも気を使うようになり「健康管理に気を付けることで協力できることがある」。千秋さんと共に「手洗いやうがい、検温の行動パターンは、すっかり習慣づいたと思う。上手になった」と笑顔を見せる。食料品の買い物も混雑する時間帯を避けるようになった。

   コロナの猛威を身近に感じた瞬間もあった。4月中旬に札幌市内で会社員をしている次男(31)から電話があった。熱が出て「コロナかもしれない」という。その後、病院に行って幸い肺炎でないことが分かったが「危機が身近に迫ってきたような気持ちがして、診察結果が分かるまで心配のし通しだった」と、2人で胸をなで下ろした。

   緊急事態宣言下でも生活のリズムを崩さず、規則正しい生活を続けている。「健康な生活を守ることが、自分だけでなく他の人たちを守ることにつながる。一日も早い終息を願っている」と話した。

  (半澤孝平)

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