「乗り越えた先を見据えて行動することが、明るくできる秘訣(ひけつ)だと思う」。苫小牧市日吉町のひよし保育園で保育士として働き、新型コロナウイルスの感染防止に注意を払う日々。3月までは3歳児13人が通う「のびのび組」を、4月からは4歳児12人の「きらきら組」を担当する。未知のウイルスに不安も多いが「楽しいことを考えながら、少しずつ前に進んでいきたい」。園児と接する際、常に笑顔を心掛ける。
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道内で感染者の発表が相次ぎ始めた2月中旬から、自身も感染予防を強く意識した。園児や保護者たちと1日当たり150人近く接する仕事柄。「自分が感染源になってはいけない」。保育士人生14年の中で病欠したことがなく、インフルエンザにもかかったことはなかったが、小まめなうがい、手洗いを欠かさないようになった。
看護師資格を持つ職員と協力し、園児の手洗い指導も再徹底した。手の甲や指の先までしっかり洗ってもらうため、楽しめるよう一緒に歌いながら取り組んだ。数日たつと手を抜きがちになる園児もいたが、「ここにばい菌さんがいるから、おなかが痛くなっちゃうよ」と分かりやすい言葉で、手洗いの大切さを伝え続けた。
2月28日に道が緊急事態宣言を出すと、保護者から「登園させて大丈夫だろうか」と心配する声も上がった。一方で、多くの親は子どもを預けなければ働けない。同園は感染症への取り組みを丁寧に説明しながら、各家庭に登園か自宅待機かを判断してもらった。全園児63人のうち約20人が自宅待機を選んだ。
園内の密集をできる限り回避し、職員同士で声を掛け合って、できることから対策を練り直した。最低1時間に1回換気するようにし、天気の良い日は園児を園庭で伸び伸びと遊ばせた。
体調の悪さをうまく言葉で伝えられない園児もいるため、一人一人の表情に変化がないか目を光らせる。まぶたが重そうになっていたり、暗い表情になっていたりしないか。「子どもの顔や動きなどのサインで、早期発見につなげたい」と細心の注意を払う。
登園する園児の数が減っても、運営は変わらず続けている。いつ、どこで、誰がなるとも限らない感染の怖さと隣り合わせだが「子どもたちと笑い合うのが一番のストレス解消法。免疫力アップにもつながる」。もちろん子どもや保護者を不安な気持ちにさせないよう「毎朝、笑顔で迎える」ことが必須。「何かあってもプラスの方向に考える」と全力で子どもと向き合う。(小玉凛)