新型コロナウイルスの感染防止策でさまざまな業種が休業要請の対象となる中、苫小牧市王子町のライブハウス「ELLCUBE(エルキューブ)」が店舗内の無観客ライブを動画配信し、音楽ファンの人気を集めている。運営会社リブライフの杉村原生社長(41)は「ライブ活動の形が変わったとしてもベストを尽くしたい」と地元の音楽文化を支え続ける考えだ。
エルキューブは道の緊急事態宣言に伴う協力要請を受け、貸しスタジオ部門を今月23日から、ライブスペースは25日から5月6日まで臨時休業中。休業初日の25日は当初、地元バンドらによる合同ライブが予定されており、出演者らがインターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」によるライブ中継を打診。消毒の徹底などにも配慮して実施することを決めた。
中継では各バンドが「家から一緒に歌おう」と呼び掛けたり、手拍子をアピールしたりしてライブを盛り上げ。
地元で活動する「BANGLANG(バングラング)」の觸澤太遥さん(20)は「新しい形のライブだと思う」と述べ、同じく市内を拠点とする「INViSBL」(インビジブル)の中原渉太さん(30)も「見ている人が楽しんでくれることが喜び。ファンからも評判はいい」と語る。
道はライブハウスについて、一般客が施設を利用できない状態であれば休業とみなし、協力金の支給対象に位置付ける。同社もこの制度などを活用して経営を続ける方針だが、長期化によって影響がさらに深刻になると指摘する。
杉村さんは今回の無観客ライブについて「音楽配信サービスの形としては一つのチャンス。新たな視点で事業化も考えたい」としている。