県民性

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  • 2020年4月29日

  毎日、朝夕の新聞やテレビで、47都道府県の新型コロナウイルスの感染者数を見る。競争ではないのだが、気になるのは数字の増減や北海道の位置だ。

   昨夜、北海道は6位。感染の第2の大波に襲われているとの分析で日々の増加数が大きく、今後が心配だ。一方で岩手県はきのうの夜まで感染者はゼロのまま。なぜなのだろう。ふと、県民性という言葉を思い浮かべた。都道府県ごとの住民の、独特の気風や気質が県民性。文春新書「県民性の日本地図」によれば、古代からの歴史や地理、景観などが根底にあり根拠のないものではないという。

   北海道民は、一言でいうと「陽気で人懐っこく進歩的」。「冷静沈着で粘り強い」岩手県人とは違う。著者の武光誠氏は、北海道には明治期に各県からたくさんの開拓者が入植し、日々の暮らしの中で、干渉し過ぎない気風を身に付けてきたと分析。道民の口癖「いんでないかい?」は、こうしたいきさつで生まれたと解説する。

   気になる数字がもう一つ。携帯電話の位置情報から割り出した、全国の主要駅を含む周辺500メートル四方の人口減少率。大型連休初日の25日、札幌駅付近は1~2月の休日の平均に比べ68・1%減。減少率1位の大阪・梅田駅周辺の84・9%を大きく下回っていた。

   「いんでないかい?」のおおらかさは、いい加減さと同じ意味でいいのだろうか。連休本番。しっかり考えて行動を選びたい。(水)

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