スポーツを志す高校生のひのき舞台となってきた夏の全国高校総合体育大会(高校総体)が26日、新型コロナウイルスの影響により中止となった。東胆振からも毎年、道予選を突破した多数の生徒が出場してきた年度前半の集大成は史上初の判断で実施にストップが掛かった。厳しい現実を突き付けられた部員たちを案じる指導者の声が聞こえる。
北海道栄陸上部は2017~18年高校総体男子400メートル連覇の森周志(現中央大2年)をはじめ、世代全国屈指の選手を輩出している。昨夏の大会(沖縄県)では男女9種目に延べ23人が出場し、女子400メートルのアシィしおり(現3年)が6位。男子4×400メートルリレーでは8位入賞を果たした。
静岡県開催が予定されていた今年も、U18日本選手権(19年10月、広島県)男子100メートル3位入賞の2年生町井大城、女子400メートルのアシィを軸に好成績が期待されていた。
今月13日に各種スポーツ団体に先駆け、道高体連陸上競技専門部が高校総体道予選を中止とした。堀下航監督は「その頃から全国大会が無くなるという感覚の選手は多かった。本当に残念だけど、仕方がない」と話す。
チームは現在、新型コロナウイルス感染防止による2度目の休校措置に伴い活動停止を余儀なくされている。監督は「特に3年生にはつらい出来事だが、ここで気持ちを落としたら負け。秋以降の大会開催の目はまだ残っている。可能性に懸けて自主練習に励んでほしい」と鼓舞する。
卓球団体戦で男子10回、女子9回の高校総体出場を重ねてきた駒大苫小牧卓球部の仲川明監督は夏の正念場だった同大会の意義を「結果を残して、それをきっかけに卒業後の進路と結び付けるケースが多かった」と語り、「生徒の安全を考えると中止以外の選択肢はなかったと思うが、かわいそう」と肩を落とす。
女子団体戦に出場予定だった今年3月の全国選抜大会(千葉県)も新型コロナの影響で中止になり、選手たちの悔しさは計り知れない。ただ、「残念な思いはどの学校も同じ。これで腐ったり、投げやりになったりすれば、今まで頑張ってきたことが台無しになる。モチベーションを落とさせないようにしたい」と監督は話す。
これまで道内上位となって高校総体出場を悲願としてきた苫小牧工業ハンドボール部の小田健介監督は「今年は実力のある選手が多かっただけに悔しい。掛ける言葉が見つからない」と苦しい胸の内を語った。
今年1月の道新人大会では初戦負けしたものの、その後は新型コロナの影響による度重なる部活動停止にもめげず、個々人が努力を重ねてきた。「大きな目標が失われた。今後全体練習が再開できるようになったとしても、選手のやる気を維持できるか心配」と話し、落胆していた。