3月下旬の朝に、宅配で段ボール箱が届いた。中には頼んだ覚えのない商品と「今、できることをみんなで考えました」と書かれた手紙が入っていた。
差出人欄には通信販売で利用したことのある九州の食品会社の名前。北海道が、全国に先駆けて新型コロナウイルスと戦い、いったんは耐え抜いたかに思えた頃のことだ。その奮闘ぶりを報道で知り激励の差し入れを送ってくれたらしい。贈られただしを使って、ダイコンや焼き豆腐、ちくわを煮染めてみた。おいしかった。手紙の末尾の「一日も早く北海道に明るい春が訪れることを願っております。従業員一同」の文字を何度も読み返しながら食べていると心の中までポカポカと温かくなった。数日前、新聞の読者の声の欄に、同じ手紙を受け取った人の投書が載っていた。ポカポカ仲間だ。
平穏を取り戻したら、お礼の買い物をしなくては―。そう考えていたところ、国の緊急事態宣言の地域に、先方の県が含まれた。購入を急がなければ。取りあえずお礼のはがきを送ると、今度は、手書きの謝礼のはがきが届いた。
ウイルスとの激しい戦いが全国各地で続く。教訓もある。「自分を守る。家族や大切な人を守る。社会を守る」という行動指針が分かりやすい。感染者や家族、治療に当たる医療関係者に心ない言葉を掛ける人もいるという。気遣い合う。励まし合う。感謝し合うことの大切さも心に刻みたい。(水)