北海道栄高校相撲部が13日に始動した。同校敷地内の専用施設で土俵開きを行った後、全員道産子の1年生3人が初稽古に臨んだ。5月以降にもモンゴル人留学生2人が合流する予定。指導に当たる名門日大相撲部元主将の高山和典監督(33)は2年後の高校日本一達成を目標に掲げ、「北海道はもともと相撲が盛んな地域。栄高校から一人でも多く活躍する力士が出てほしい」と意気込みを示した。
新型コロナウイルスまん延の影響下で迎えた新年度となったが、相撲未経験の留学生も含めた部員5人から一歩目を踏みだし、高山監督は将来的に増員を図りたい考え。「最初はじっくり基礎の底上げをしていきたい」と腹をくくっている。5月中には土俵を囲う俵や部室も設置される運びだ。
相撲部設立の話が出たのは約1年前。高校生指導を志望していた高山監督は埼玉栄高校在学中の相撲部で教えを受けた恩師で現在も指導者の山田道紀監督に道栄高校を紹介されたのがきっかけ。それまで来道経験はなかったものの新天地で保健体育教師となり、部活を受け持つことになった。
名古屋市出身で埼玉栄高校で学び、日大時代は主将を務めた経験を持つ高山監督。高校で同期だった元大関の豪栄道らと団体の国体3連覇と1、3年時の高校総体優勝を経験。日大では東日本学生選手権優勝者となり、社会人のアイシン精機でも全日本実業団大会準優勝と活躍してきた。
目下の社会情勢で高校相撲部の大会日程の見通しが立たない状況ではあるが、「まずは基本の稽古を忠実にやっていくことを大切にしていきたい」と腰を据えた選手強化を図る。「3年目には高校総体で優勝したい」と目標を掲げている。
初稽古では、すり足や四股といった基本を丹念に伝授。まわしを着けて真剣なまなざしの3人が励んだ。
北広島市出身で昨年の全道中学優勝者、東亮佑(あずまりょうすけ)(15)は「高山監督の指導なら強くなれると思い、入部を決めた。全国制覇できるようにたくさん稽古を積んでいきたい」と意気込む。
渡島管内福島町出身で全国中学出場実績を持つ野坂朋矢(のさかともや)(16)は「高校の3年間で基礎をしっかりやって力を付けたい」と抱負を示した。札幌市出身の熱海允一(あたみまさと)(15)は相撲経験を持たないながら入門し、「上達するように一生懸命頑張りたい」とひたむきだ。
本道は、北の湖(壮瞥町出身)や千代の富士(福島町同)といった角界の名横綱を都道府県で最も多く輩出した歴史を踏まえ、高山監督は「『相撲王国』復活の足掛かりとしたい」と意欲を示す。1期生について「育てがいがある。愛情を注いで育てていきたいし、活躍してくれることを期待している」と熱い視線を向けた。