言わせてほしい

  • 土曜の窓, 特集
  • 2024年11月9日

  映画を1人で見る時間は至福のひととき。映画館の雰囲気、ここでだけ食べたくなるポップコーン。どこの席にしようか考えるのもいい。今夜は後方中央の席。

   かつて映画は一番前の席で見ると決めていた。自分とスクリーンの間に何もないって最高だ。全体を一度に見にくいため、首を左右に動かす必要があるが、それでもメリットが上回っていた。しかしある映画の荒海の中揺れる船の長いシーンがあり、間近で見ていたら酔ってきた。映画の中の人たちと共にわたしも映画館でひどい船酔いになって(そこまで入り込めるのもすごいが!)映画という船から下りた(うまい!)。それからというもの体調と首の疲労を考えて後方席で楽しんでいる。

   昨夜見たのは「室井慎次 敗れざる者」。ドラマ「踊る大捜査線」の柳葉敏郎さん演じる室井管理官の話。映画の中での室井さんは警察を辞め故郷の秋田に帰り、湖のほとりの古民家で暮らしている、というところから物語がスタートするのだが、大変に引き込まれ、ともかくよかった。

   キャストの皆さんもすてきで室井さんに久しぶりに会えてうれしい、あの頃わくわくして見てたな~大捜査線と若かりし日を思い出しつつ。秋田犬はかわいい。秋田の原風景もいい。夜空。山々。雲。澄んだ空気。

   後半登場した絶対近寄りたくない厄介そうな男を演じていたのは極楽とんぼの加藤浩次さんであった。あ、この方は確か北海道出身だったはず。映画を見ながら瞬間的に北海道のことが頭をよぎる。こんなに映画に集中している今、秋田の風景を大スクリーンから体中に感じているにもかかわらず、北海道のことを思い出すだなんて、もはやわたしの第二の故郷と呼ばせていただきたい!

   映画が終わり拍手を送りゆっくりと歩きながら現実と車に戻り、調べました加藤浩次さんの故郷を。合ってました北海道出身。小樽市。わたしの北海道センサーはなかなかのものだ。本州から小樽まで新幹線で行けるのもあと数年か。

   帰りの車内、北海道で頭がいっぱいになっている。もう一度言おう。北海道。第二の故郷と言わせていただきたい!(タレント)

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