春の柔らかな日差しの中でフクジュソウの開花やハクセキレイの散歩を見ました。心地よい春風を受けながらキツツキのドラミングや野鳥のさえずりを聞きました。最近はヤマゲラ(キツツキ科)の「ピョーピョー」とよく通る甲高い声が園地に響き渡っています。待ちに待った春の到来をうれしく思っています。一方、新型コロナウイルスの感染拡大が心配されていて気持ちが落ち着かない日々が続いています。
不要不急の外出を控えなければならない時期ですが、野外の空気に触れたいと思い、支笏湖周辺の森に出掛けました。ラッキーなことに暖かい日でした。林道に所々残る雪の上を長靴で歩きましたが、何度もズボズボと踏み抜き、思ったよりも結構な運動ができました。
森に入って30分ほどで目の前の景色が開け、展望できるような場所に出ました。そこから見えたのは、湖畔から見るのと違った姿の樽前山。いつも隣にそびえている風不死岳が目の前の森に隠され、樽前山が主役になっている景色でした。同行者が「風不死岳に邪魔されていない景色だね」と感動しながら言ったことがおかしかったです。
樽前山とその裾野の勇払原野を見ながら大きく深呼吸。陽だまりの中、家から持ってきたコーヒーを飲み、お気に入りの甘いお菓子も口にし、心身が和らぐような時を過ごしました。近くにナニワズの花が咲いているのを見つけたときは、うれしくて明るい気持ちになりました。ナニワズは鮮やかな黄色の小花が集まる早春の花です。
帰り道、行きには無かった雪解け水を集めた小さな小川ができていてびっくり。音を立ててぐんぐん流れていく様子に、太陽のパワーを感じました。
コロナ騒動で疲れがたまってしまうこともあるけれど自然の力をうまく利用して、今の状況を乗り越えていかなければと思っています。
(支笏湖ビジターセンター自然解説員 吉田香織)