温泉に漬かって

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2020年4月9日

 苫小牧の西に住んでメリットを実感するのが樽前の温泉施設・ゆのみの湯と道央道の苫小牧西インターチェンジ。利用の度に近いことがありがたく思う。

 「ゆのみの湯」はここ数年よく利用している。塩化物強塩泉の効果で体がじんわり温まる。手足の冷え、首と肩の痛みと長い付き合いのコラム子にはうってつけ。平日の夕食後に行くことが多い。混み合うことが少ない時間。玄関脇の消毒液を手に掛けて入館。浴室では常連さんの歓談の声が響く。

 裸の社交場の話題は世情を反映する。近頃は新型コロナウイルスが会話の端緒になる。政治家をこき下ろす展開も時にある。厳しい言葉でもエキサイトはしない。笑い話になって終わるから面白い。

 聞くともなしに聞こえる話から次第に心が転じ、ぼんやりと思い浮かんだのは作家の坂口安吾。国民の命、国力の全てを注いだ全面戦争に負け、国土も経済もモラルも焦土と化した戦後の人々に「生きよ、堕(お)ちよ」と叫んだ無頼派。掛け替えのないものを失い、政治に裏切られ、鬼畜と憎んだ連合国軍の占領下、絶望を知ってこその生きる強さを逆説で訴えた。今は戦時を例える指導者もいる乱世。跳梁(ちょうりょう)跋扈(ばっこ)する見えざる敵が疑心を深める。敵は人にあらずウイルスと定め正しく向き合いたい。

 空気の圧を避けた湯殿で緩み、安吾に思いを巡らせた不思議に気が付いてわれに戻る。(司)

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