「森の象徴、多くの人に」 支笏湖ビジターセンターでシマフクロウ剥製を展示

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  • 2020年4月3日
支笏湖ビジターセンターに展示されたシマフクロウの剥製

  丸駒温泉旅館(千歳市幌美内)の創業者、故佐々木初太郎さんが1935年、恵庭岳の麓で捕獲したシマフクロウの剥製が、支笏湖ビジターセンター(同市支笏湖温泉)に展示されている。丸駒から3月に寄贈された。同センターがシマフクロウの剥製を収蔵するのは初めてで、木林正彦所長(60)は「森の象徴とも言えるシマフクロウを、多くの人に見てもらいたい」と喜ぶ。

   剥製は体長約70センチで幼鳥とみられる。支笏湖地域の野生動植物を紹介するコーナーで、樹木標本の上に設置した。

   元苫小牧市博物館館長の長谷川充氏が千歳市の機関誌「志古津」に寄稿した「シマフクロウと千歳」によると、温泉近くの木に止まっていたシマフクロウを狩った佐々木さんが「フクロウは縁起がいい」と、親しかった苫小牧市の故深沢正男さんに譲った。正男さんの長男でサンユー食材(苫小牧)会長だった故重男さんが2014年に丸駒に返して旅館内で展示されていたが、資料価値が高いことから昨年2月、丸駒が環境省に寄贈した。

   剥製は野鳥に詳しくない人が加工したとみられ、体のつくりが実際とは違う形だったため、環境省は北洋美術工芸(札幌市)に依頼、本来の姿に復元した。すすなどが付着していたが、それがかえって日差しから羽毛を守る役目を果たし、日に焼けることなく本来の色が保たれていた。

   絶滅危惧種に指定されているシマフクロウの個体数は、環境省の18年調査で165羽。道東が中心で、支笏湖地域での生息は近年確認されていない。支笏洞爺国立公園管理事務所の塚本康太国立公園管理官(29)は「剥製を見ることで、シマフクロウが戻ってくるような豊かな自然を残したいと思ってほしい」と話す。

   丸駒温泉旅館4代目館主の佐々木義朗さん(57)は「支笏湖にシマフクロウがいたという歴史を多くの人に見てもらえたら」としている。

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