苫小牧港に春を告げるニシンのサビキ釣りが最盛期を迎えた。連日の好釣果を聞き付け西港内を車で走らせていると、岸壁の一角で釣り人たちがにぎわいを見せていた。
漁港区に隣接する船だまりの岸壁上では一列になった釣り人が約40人。リズミカルにさおを上下させ、歓声とともにさおをしならせて引き上げたニシンの銀鱗が日差しで輝く。水面に目を向けると、海中は白く濁り、ニシンの産卵行動「群来(くき)」だと容易に判断できた。入船町のエビス釣具店によると、群来は港内で頻繁に見られ、日によって発生場所も変わっている。
札幌市から足を運んだ宮崎豊さん(65)は、3月27日正午に釣り座を構えて3時間で釣果は10匹ほど。数はいまひとつだが、釣り上げた魚体は30センチを超える”良型”。自然と笑みがこぼれる。
仕掛けは5・4メートルの磯ざおに市販のニシン用サビキ針(白スキン付き)。針のサイズは平均より少し大きめの7~8号を選択したが、海中が白濁しており魚の警戒心も低いため、問題なさそう。不意の大物にも対応できる。仕掛け先端の重りを10号と重くすることで確実に底を取り、常にさおをしゃくることで回遊魚にアピールするのがこつだという。
群来に沸く岸壁。うわさを聞き付け、タモ網でニシンを捕獲する人も多く見られた。ただし北海道海面漁業調整規則で「口径と網の深さが40センチ未満のタモ網」でなければ違法行為となるので注意が必要。苫小牧のニシンは固有種としても知られており、限られた資源を守る上で、産卵環境を守る優しさも持ち合わせたい。