苫小牧のスポーツの中心である総合体育館は、2012年度に導入された指定管理者制度により、利用者が増加した。主に都市総合開発が管理者を担い、施設の利便性の向上や各種教室の企画、運営で、市民により親しまれるスポーツ施設として成長を遂げた。
都市総合開発は、東洋実業との共同事業体を含めて12年から同体育館の指定管理者を務めている。同社は新規利用者獲得とリピーターの確保に向けた取り組みに力を入れてきた。同社の阿部秀之取締役部長(49)は「利用者獲得のためにハードとソフトの両輪で改善を図った」と語った。
ハード面では、12年秋に人気が高いランニングマシンを10台導入し、計12台に増設。次年度の利用者数は1万5000人増となり、体育館で体を鍛えようとする人たちのニーズをつかみ、効果を上げたようだ。
16年8月には、メインアリーナの照明を発光ダイオード(LED)に切り替えた。それまで使用した水銀灯の明るさは450~500ルーメンだったが、LED化により1100ルーメンまで向上したのと同時に、電気代節減にもつながった。阿部部長は「こういったハード面の改善は、施設の魅力アップにおける『1丁目1番地』だと思って取り組んできた」と強調する。
「スポーツ教室」などの自主事業で幅広い年代を集め、新規利用者の掘り起こしも進めてきた。小学生向けのバドミントンや卓球の教室をはじめ、高齢者も取り組めるスポンジテニスも実施種目に加え、誰もが参加でき、初心者の門戸となるような指導企画を考えてきた。
骨や筋肉などの強化や運動機能の維持向上を目的として15年に始まった「ロコモ予防運動教室」は40~70代の参加者に好評だ。同教室で講師を務めてきた佐藤芳江さん(55)は「スポーツ施設は若い世代の利用が多いイメージですが、健康寿命を延ばすためにも高齢者こそ運動した方がいい」と話し、「交通の便も良く、バスでも通えるところが、教室に足を運ぶきっかけにもなっているのでは」と立地条件の良さも指摘した。
ハードとソフト両面の改善が功を奏し、利用者は16年度に20万人を突破。市直営の最終年に当たる11年度は約11万人と高い伸び率を達成した。
市民サービス向上のため、利用者のアンケートも集め、市が施設に対する評価を下すモニタリングでも15年にランクは「B」から「A」に昇格。17年からは2年連続で最高評価「AA」を獲得した。
市総合体育館は完成から半世紀を見据える今後、建て替えに向かっていく。阿部部長は「総合体育館は苫小牧のスポーツのシンボルのような存在。新しい施設がスポーツの聖地として生まれ変わることに期待したい」と語った。