村上さんのクロガシラ釣りのこだわりは餌。塩締めのイソメは「半生が一番使いやすい」と話す。
虫餌だけに生きた状態が最良だが、イソメは身が軟らかいために、遠投などで仕掛けを投げた際に身がちぎれてなくなってしまうことが多い。遠投派のキャスターは塩で締めて身を固めて使う。
村上さんはこれを「半生」状態に仕込む。作り方は▽生きたイソメに塩を掛ける▽新聞紙でくるんで台所のシンクなどに立て掛けて置き、イソメの水分をしっかり取る▽30分たったらイソメの表面の塩を落とし、今度は片栗粉をまぶす▽冷凍せずに、冷蔵状態で保管する―。「釣行前日に作る。残っても冷蔵だと1週間は持つ」と言う。針に掛けた後の餌持ちは良好で、がっちりと締めた餌より水中での状態はより自然だ。
餌は釣果を左右する重要な要素。中村さんはこれで2月下旬から抱卵クロガシラを釣っている。
とはいえ、冷蔵庫のハードルはなかなか高い。「家内が冷蔵庫でイソメを見つけた時は、飛び上がって驚いちゃって。大変でした」と笑う村上さん。多くは笑い事で済まない。
興味深い「半生」。家庭で実行する時は”説明責任”を果たす覚悟が要る。