苫小牧明徳小学校(同市明徳町3、毛利毅校長)は今月末に閉校するが、校舎を改修してまた新しい学校に生まれ変わる。知的障害のある小・中学生が通う道立特別支援学校で、来年4月1日の開校を目指している。特別支援学校の開設は、2016年4月に開校した札幌伏見支援学校以来。周辺の町内会は明徳小と同じように、登校してくる子どもたちを見守っていく考えだ。
苫小牧市には、知的障害を持つ児童、生徒の特別支援学校はなく、市から約60キロ離れた平取養護学校(平取町本町)に就学している。道教育委員会特別支援教育課によると、同校の小、中学校の部には19年度の全校児童生徒41人のうち胆振から33人が在籍し、教諭が家庭などに出向いて行う訪問教育を除き、全員が寄宿舎から通う。
寄宿舎生活が困難などの理由から特別支援学校ではなく、市内の小中学校の特別支援学級に通学している児童生徒もいる。こうした子どもたちのうち、市教育支援委員会から「特別支援学校が適当」と答申が出された児童生徒は昨年5月で計49人。特別支援学校の教諭は、特別支援学級には必須でない免許を取得しており、より専門性の高い指導に当たることができる。
このため市では、03年から特別支援学校の新設を強く要望してきた。明徳小の閉校後、すぐに改修工事に入り、学校名や通学区域の対象などは今秋に決まる見通しだ。
知的障害者や家族、支援者らでつくるNPO法人、苫小牧市手をつなぐ育成会の斉藤フミ子会長=拓勇東町=は、特別支援学校の開校が「子どもや保護者にとって、就学先の選択肢が増えることになる」と歓迎する。
明徳小の初代PTA会長を務めた白岩勝也さん(80)=明徳町=は開校当時、学校の不足教具を補うため、初代校長の故山田和男氏と共に市内の企業や個人へ寄付を頼んで回った。「思い出深い、良い学校だ」と振り返る。閉校後の跡地はどうなるのか、地域住民としても気に掛けていた。「学校という形が続くことはうれしい」と特別支援学校の新設を喜ぶ。
明徳町の西隣、もえぎ町内会の甲谷久会長(71)は、子どもたちの元気な声が響く明徳小は「明るく輝く太陽の存在」だったという。特別支援学校に移行後も「町内会として、また支援ができれば。地域としても優しい気持ちになる」と、グラウンドに子どもたちの笑い声が再び戻る日を楽しみにしている。
(高野玲央奈)