㊤19日卒業式で最後の思い出刻む 寂しいけど仲間と前に

  • さよなら明徳小 そして未来へ, 特集
  • 2020年3月17日
記念式典で合唱する児童たち=2月22日、明徳小体育館

  「閉校は寂しいけれど、みんながいるので勇気を持って進みます。ありがとう明徳小学校」―。今月末で閉校する苫小牧明徳小(同市明徳町3、毛利毅校長)の閉校記念式典が2月22日に同校体育館で行われ、全校児童の感謝の声が響いた。保護者や同窓生、元教職員など約400人が出席した。残りわずか、通い慣れた校舎で大切な時を過ごすはずだった児童たちは、新型コロナウイルス対策のため登校がかなわなくなった。最後の思い出を刻む卒業式は19日、修了式は24日に行われる。

   苫小牧市教育委員会は2016年、児童数の減少が続く明徳小を19年度末で閉校し、20年度に錦岡小に統合する方針を決めた。市内小学校の統廃合は1982年3月の丸山小以来だ。

   明徳小は、錦岡小のマンモス校化を解消するため83年4月に、同小の校区を分離し開校した。開校当時の児童数は687人、学級数は18学級を数えた。児童数は84年に695人に達したが、その後、少子化などを背景に減少傾向が続き、現在の児童数は143人、1学年1クラスとなっている。

   同校は昨年6月、児童に統合への心配やその内容を尋ねるアンケートを行った。1年生は41%が「全然心配がない」と回答する一方、5年生になると45%が「とても心配」と答えた。低学年は通学に関する心配、高学年は友人関係についての不安が多く見られた。両校では、明徳小の児童らが学年ごとに錦岡小へ訪問し、増築された新校舎を見学したり、錦岡小の児童とゲームをしたりして遊ぶ交流学習などを実施し、不安解消を図ってきた。

   元児童会長の佐伯花恋さん(12)=6年=は「運動会や学芸会など、いろいろな行事に『閉校記念』と付いて寂しい気持ちもあったけど、学校で楽しい思い出がつくれた」と話す。

   86年ごろから毎年12月に、書き初めの実技指導を行ってきた錦西書道教室の佐々木努さん(85)は、「最初の頃は6年生だけで午前中いっぱいかかったものだ」と懐かしむ。使っていた体育館も「子どもがびっしりで、自由に動く場所もなかった。今は伸び伸びと書けるようになった」と話す。

   83年に開校した最初の入学生、本間雅洋さん(43)=神奈川県=は、当時は6学年全てが3クラスずつあり「今では考えられないくらい、にぎやかな学校だった」と振り返る。全ての教室を使って出店や出し物が行われた文化祭や、ソリ滑り、空き地でのたこ揚げが印象に残っているという。

   新たな小学校への転籍を前に不安を抱く子どもたちの気持ちを思いやり、「学校が変わっても、樽前山を毎日拝むことができることに何ら変わりはない。この恵まれた土地で、健やかに過ごしてほしい」とエールを送る。

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   37年の歴史に幕を下ろす明徳小学校と、明徳小に代わって子どもたちを迎える特別支援学校に寄せる思いを聞いた。(高野玲央奈)

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