社会人野球最高峰の戦いと言えば都市対抗野球だろう。かつて苫小牧には道代表権獲得11度を数えた強豪、王子製紙苫小牧工場硬式野球部が存在した。2000年まで活動していた。
1950年に創部し、50周年に当たる20世紀最終年の8月に同社春日井工場のチームと戦力統合した。秋に単独日本一を競う日本選手権では道代表9度。90年代半ばまで隣まち白老の大昭和製紙北海道はじめ、たくぎん、NTT北海道の両札幌勢、新日鉄室蘭と覇を競う「五強」一角として奮戦を重ね、惜しまれて部史を閉じた。
当地すべての野球の柱と言えた王子硬式に続く社会人クラブをつくろう―。市民有志がオール苫小牧を創設した。呼び掛けに呼応したのは同部元選手らを含めた会社員や教員、病院事務職など職業さまざまな21人。結成準備から始まり、夜間に行った初練習やオープン戦、秋の公式戦デビューをそのシーズン続けざま記事にした。
打撃練習に集まる選手が少ないと、カメラを置いて外野後方で球拾いを手伝った。クラブ初代監督は自営業で当時53歳の酒井明さん。先日、発足時の思い出からチームの近況までまた話を伺えた。いわく「楽しむ硬式野球が続いてますよ」。創設の心は不変だ。
新型コロナウイルス影響の広がりは当面気掛かりだが、終息後には必ず屋外スポーツの花が開くと信じている。20周年迎えたクラブにことさら目を凝らしたい。(谷)