財政 800億円超えの積極型 健全性維持へ求められる増収策

  • 未来を見詰める 苫小牧市2020年度予算案, 特集
  • 2020年2月21日
2020年度予算案を記者会見で発表した岩倉市長=12日、苫小牧市役所

 「もっと歳入があれば、いろいろなことをできると思うが限られた状況の中で頑張った」

 12日、苫小牧市役所で開かれた定例記者会見。岩倉博文市長は出産・子育て支援や防災、小中学校、市営住宅の建て替え・改修などに重点を置いた2020年度予算案の編成作業をこう振り返った。一般会計は19年度当初比1・9%増の815億円。01年度以来19年ぶりに800億円を超える、積極型予算となった。

 支出は、総務費が同1・5倍の51億円。このうち防災行政無線の屋外スピーカー設置範囲拡大に約15億円を充て、地域福祉拠点づくりの一環で、沼ノ端鉄南地区文化交流サロン(東開町)の整備にも4600万円を計上した。

 社会保障費に相当する民生費も同4%増の285億円。一般会計の3分の1を占める。幼児教育・保育無償化、新規事業の小規模保育施設整備費補助事業費なども盛り込んだ。

 1億円以上の事業は、学校や市営住宅の建て替えなど新規、継続合わせ35事業。特別、企業会計を含む公共事業費は173億円で、この20年間では05年の187億円に次ぐ規模となった。今後も老朽化した公共施設の改築や修繕は続く。

 歳入は、市税が同0・8%増の276億6200万円を見込む。生産年齢人口(15~64歳)の人口減少が続いているが近年、就労高齢者や共働き世帯の増加などを背景に個人市民税の納税者が増えていることが背景にある。

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 一方で、借金は膨らむ。市の借金に当たる市債の借り入れは20年度、同5%増の100億円に達する。その2割は臨時財政対策債で後に国から手当てされるため実質、市で返済するのは78億円だが、これまでの市債の残高は同年度末時点で928億円と見込む。この20年間では最高額。貯蓄に当たる財政調整基金は、19年度補正予算の未執行分や市税収入の上振れ分など8億円を積み立てるが新年度予算案で10億円を取り崩す予定のため、残高は25億円ほどになる。

 市は当面、同様の手法による財源確保を想定するが、財政課は「この循環は一度崩れると、厳しい状況に追い込まれる」と打ち明ける。市税の増収、決算の剰余金も続く保証はどこにもない。

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 財政の健全性を保つため、市は19~21年度の財政基盤安定化計画を運用している。経常収支比率、実質公債費比率、将来負担比率―の三つの指標を掲げ、各数値を目標範囲に収まるようにしている。

 財政課の予測では、19年度末時点で3指標の目標すべてをクリアできる見通しだが、将来負担比率は、18年度末比19ポイント増の84・1%と試算する。借金残高の増加が数値を悪化させたとみられる。

 人口減少などに伴う税収減が避けられない中、借金返済を進め、一定の貯蓄を維持するための新たな増収策が求められている。市債、基金の動きを監視し、収支のバランスを整えながら市民サービス向上に取り組むという難しいかじ取りが求められている。

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 苫小牧市の20年度予算案を財政、人口減少対策、安心・安全の観点から検証する。

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