氷上ワカサギ釣りシーズン最盛期の12~14日、苫小牧市樽前の錦大沼で恒例の釣り大会「ワカサギ釣り名人2020」が開かれた。予選を勝ち抜いた腕自慢6人が14日の本戦でデッドヒートを繰り広げ、2時間で89匹を上げた苫小牧市澄川町の無職、瀬川敏紀さん(70)が2014年以来となる2度目の栄冠を手にした。「一本釣り」での大逆転だ。
大会は時間内に釣り上げたワカサギの数を競う。仕掛けの針数は自由だが、使えるさおは1本。予選は2日行い、各日の上位3人が本戦に進出する。制限時間は予選が1時間で、本戦は2時間勝負。
優勝した瀬川さんはほぼ毎年、大会に参加している。しかし今年の予選初日は23匹で、上位3人に入らなかった。巻き返しを期した2日目は44匹を上げて本戦進出を決めた。
2度目の優勝を目指した本戦だが、前半1時間は当たりが散発で我慢の釣り。釣果は23匹にとどまり、嫌な予感が頭をかすめた。巻き返しを図るため、魚を浮かせられるポイントに移動し、手返しの速さ勝負なら圧倒的に有利という「一本釣り」を開始した。
市販のワカサギ仕掛けは4~5本の枝針が付く。これに対し一本釣りは針1本の自作仕掛け。当然、餌替えに手間はかからない。しかも瀬川さんはさおを使わない手釣り。素手で道糸を操り、魚信を捉えて素早く糸を手繰って魚を上げる。昼が近づいて釣果が落ちる後半、1分に1匹以上のハイペースで釣果を量産。勘と速さの妙技がさえた。
表彰式で栄光の「名人キャップ」を冠し、こぼれる笑顔を輝かせた瀬川さん。クジラの歯でさおを自作して名人戦に臨むすご腕ライバルらの祝福に照れながら「ワカサギは小さい分、集中して釣りをするところが面白い。冬の一番の楽しみです」と話した。
ワカサギ名人戦は苫小牧市シルバー人材センター(熊木功理事長)が主催。今年で10回目。苫小牧、白老から25人が参加した。