17日に判決問題は解決するか 課題はまだ山積み 駅前再開発の行方は混迷

  • エガオ訴訟 ここを教えて, 特集
  • 2020年2月15日
2014年の閉鎖から5年余りが経過した苫小牧駅前プラザエガオ

  Q 2014年に閉鎖したJR苫小牧駅南口の旧商業施設、苫小牧駅前プラザエガオの土地の一部を所有する不動産業、大東開発(以下同社)が、建物を所有する苫小牧市に対し、土地を不法に占有しているとし、賃料相当分など約460万円の損害賠償を求めている訴訟。裁判はどのように進んでいるの。

   A 19年1月に同社が苫小牧市(以下市)を訴えて以降、争点を整理する弁論準備手続きを6回、口頭弁論を2回行い、同社会長の三浦実氏に対する証人尋問も終えている。この間、市が和解案を示したようだけど、同社は「受け入れられない」と争う姿勢を鮮明にしているんだ。17日に判決が言い渡されることになっているよ。

   Q 両者はどんな主張をしてきたのだろうか。

   A 例えば、エガオの土地の取得をめぐる主張についても大きく異なるんだ。同社は14年2月に三星の関係者から土地を購入しているんだけど、裁判所には「三星発祥の地を確保するため」などと説明している。三浦氏は過去に菓子製造販売業の三星で働き、初代社長の教えを今も大事にし、三星の再建を「恩返し」と公言しているんだ。再建がうまくいけば、三星に土地を返す意思も示しているほど。市が建物や土地の権利を集約する前の話で、当然ながら行為の正当性を主張している。

   Q それの何が問題なの?

   A 市は土地を取得した経緯を問題視しているんだ。施設を運営していたサンプラザは、14年4月に自己破産申請したんだけど、市は「同社がサンプラザの経営破綻を知りながら取得した」と訴えている。この時点でサンプラザから土地の賃料は支払われていなかったようだし、同社が所有している土地も、同じ敷地内で分かれている不連続な状態。ビルがなくならない限り、土地の使い道がないので、同社の行為は「不当に何らかの利益を得ることが目的」との主張なんだ。意見は完全に対立しているよね。

   Q いよいよ判決。これで問題は解決してすぐに駅前の再開発が進むんだよね。

   A ちょっと難しいんじゃないかな。今回の裁判は、同社があくまで地権者として、ビルの現所有者になっている市に賃料の支払いを求めている内容。裁判所が訴えを認めるにしても、退けるにしても土地の権利をどうするかとか、ビルを誰が解体するかとかは、まったく別の話なんだ。

   Q じゃあ、まだまだ時間がかかるのかな。

   A どちらの訴えが通ったとしても、すんなり終わるのか見通しも立たないんだ。財産権だけを考えれば同社の主張には正当性があるし、市も公的な立場で土地や建物の権利を集約してきた経過がある。

   互いに譲れない言い分がある中、裁判所がどこまで考慮して判断を下すのか注目されるよね。ただ同社の主張が認められたら、市はお金を同社に支払うわけだけど、それはもちろん税金。市民の理解を得られるのかな。土地や建物を無償で寄付してくれた他の人の事を考えても公平ではないと思うんだ。権利集約を一からやり直す、なんて話にならないとも限らない。市の主張が認められたら、きっと同社は納得しないだろうから、裁判は長引く可能性もある。

   だから、駅前の再開発がいつになるかまでは正直分からないんだ。中心市街地を何とかするために早く決着してほしいよね。

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