1月下旬から2月中旬は毎年恒例「千歳・支笏湖氷濤まつり」の季節です。夏季に駐車場として利用される敷地に、大小約30基の氷像が並ぶ姿は圧巻です。
氷像制作は11月中旬から始まり、今年は実に72日間の制作期間を経て作られています。まずは、丸太や鉄パイプを骨組みに、シラカバや松の木を使って土台を作り、氷が付きやすいようにネットをかけていきます。ここまで出来上がると12月下旬頃からようやく支笏湖の湖水をくみ上げ、スプリンクラーで吹きつける作業に移ることができます。
この散水作業に適しているのは氷点下7度~同8度で風が少し吹いている日。湖水を少しずつ吹きつけて氷を厚くします。制作スタッフは「氷を太らせる」と表現します。1月上旬からは24時間体制の急ピッチで作業を進めていきます。気温・風向き・天気などを見ながら散水の具合を微調整しているというのも熟練の技といった感じですね。寒い気候でないと氷は付かないものの、氷点下の中での深夜作業…想像を絶します。
今年は2月に入るまで「少雪」と騒がれており、氷濤まつりは無事に開催できるのか、とのお問い合わせをいただくこともありましたが、実は氷濤まつりの氷像制作に雪は必要ありません。雪ではなく、支笏湖の湖水で氷像を作っています。
散水して氷を成長させていく過程で雪がほとんど降らなかったことや冷え込みが厳しかったこともあり、今年は混じり気のない、しっかりと厚みのあるきれいな「支笏湖ブルー」色の氷像に仕上がっています。夜のライトアップも幻想的できれいですが、私は日中太陽の光に照らされて「支笏湖ブルー」色に輝く氷像も気に入っています。
まつり開催期間も最後の週末を残すのみとなりました。多くの方に会場に足をお運びいただき、厳しい寒さが生み出す自然の美しさを体感いただけるとうれしいです。
(支笏湖ビジターセンター自然解説員佐々木香澄)