例年、2月に入るとチカやニシンのサビキ釣りでにぎわう苫小牧市東部の苫小牧港・西港の勇払埠頭(ふとう)。休日ともなると、釣果情報を聞き付けた多くの釣り人が市内外からポイントに詰め掛ける。
釣り倶楽部取材班が現地を訪ねた2月上旬。札幌から訪れた2人の釣り人に出会った。会社員の松村章市さん(52)と取引先の釣り仲間で20年来の”師弟関係”にある田なべ修さん(71)。正午すぎから釣り座を構え、長さ5・3メートルの磯ざおに専用のサビキ仕掛けでチカを狙っている最中だった。「本命は日が沈んでからのニシンですよ」と言いながらも、松村さんが見せてくれたバケツの中には、体長20センチ前後の立派なチカが約30匹。「釣果はそれほどでもないが、形は良好」と笑顔を見せた。
この日の同埠頭は岸壁中央付近で釣果が集中。夕方から日没にかけて釣果が伸びる「夕まづめ」には、1投で仕掛けの針(5~10本)すべてに魚を掛ける”つわもの”も。それ以外の場所でも5~10分置きに魚群が回遊し、小まめにさおを揺らす光景が見られた。
好釣果の秘訣(ひけつ)はまめなまき餌。松村さんらは、冷凍のオキアミブロックを半解凍させたものを砕き、群れの回遊に合わせて散布。「海中でカーテン状に広がるようにするのがこつ」(田なべさん)とのこと。魚影の滞在時間が伸びる分、針掛かりも目に見えて増えていた。
チカは年中釣れる大衆魚として小物釣りの代表格だが、秋から厳寒期の冬に脂が乗り、まさに今が旬だ。「道内でも太平洋沿岸の苫小牧は大型が目立つ」(田なべさん)。この日も20センチ超の大チカを連発。満面の笑みを浮かべた。
夕暮れには日没後のニシン釣りに向け、光に集まる魚の習性を利用した投光器を準備する釣り人の姿も目に付き始めた。ニシンは1日で100匹超えの釣果も狙える冬の人気ターゲット。松村さんも昨年末、100匹超えを記録したそうだ。「次は苫小牧で」と笑顔を見せた松村さんに、「チカがこれだけ動いていれば、ニシンの活性も高そう。期待できるよ」と田なべさんが答えていた。