首都圏に住んでいる孫の写真が届いた。頭には、新聞紙で厚く折った防災頭巾。気に入ったらしく幼稚園の防災訓練の後も、かぶって帰宅したそうだ。
自分は大地震も巨大津波も、避難訓練という言葉も知らずに育った。阪神淡路大震災や東日本大震災の映像をテレビで何度も見て育った孫たちとは、天災や防災との距離感が違う。写真の孫の表情は硬く緊張して見える。「遊びではありません」。保育士さんに繰り返し言われたのかもしれない。
首都圏の巨大地震や津波の備えに関する報道がどうしても目に付く。1月下旬、南海トラフ地震による大津波の、30年以内の発生確率が発表された。孫たちの住む場所は南海トラフの震源域からほんの少しだけ、東にずれているものの、記事に現れる津波の高さを見るととても安心はできない。数日後には首都直下地震の報道が続いた。推計では都内で14万人以上が負傷し、うち1万2000人が入院、救急病院の4割が対応困難になるそうだ。心配は尽きない。
「北海道に来い」と言いたくなる。しかし「苫小牧は安全なの」と問われれば、自信がない。根室沖、十勝沖は大地震の巣。津波への備えが必要だ。胆振東部地震だって発生したばかり。活火山・樽前が大きめの噴火をする可能性だって、ある。油断はできない。
もうすぐ、あの日から9回目の3月11日がやってくる。備えは進んだのかを、確かめる日。(水)