視力失ったオオタカ 驚くほどの回復力

  • 救護室のカルテ, 特集
  • 2020年1月29日
右目の視力が回復し飛翔訓練が始まるオオタカ
右目の視力が回復し飛翔訓練が始まるオオタカ
右目の視力が回復し飛翔訓練が始まるオオタカ
右目の視力が回復し飛翔訓練が始まるオオタカ

 いよいよ2020年。東京オリンピック・パラリンピックが開催されることもあり、何かと気持ちが前向きに、そして世の中も高揚感あふれる新年の幕開けでしたが、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターの救護室でも私たちスタッフの気持ちが高ぶることがありました。それは、現在治療中のオオタカ(タカ目タカ科)の経過についてでした。

 昨年12月上旬、このオオタカは建物に衝突したのか、飛べずにいたところを保護されました。翼や足に異常は認められませんでしたが、頭部を強打した影響か、右目に神経症状が見られ、光を当てても瞳孔は全く反応せず、目が見えていない状態でした。また反対側の左目については、眼球そのものが損傷しており、やはりこちらも視力がない状態でした。

 両目の視力を失ったオオタカは、餌を目の前に置いても、それを餌だと認識することができないため、強制的に餌を与える必要がありました。暴れるオオタカの体を捕まえては、1日2回の強制給餌を施し、また視力回復の見込みはなかったものの、感染症等による悪化を防ぐために投薬治療も開始しました。

 事故に遭うその時まで、自然界を自由に羽ばたいていた暮らしが一転、何も見えなくなってしまったオオタカ。その上、治療行為ではあったとしても、毎日人に処置されることは、想像を絶する苦痛だったに違いありません。ですが治療を始め数週間たったある日、ふと見ると、オオタカが私の動きに合わせて頭を動かしたのです。もしかしてと思い確認すると、右目の瞳孔がわずかに反応。なんと視力の回復の兆しが見えたのです。そして年が明けた頃には、室内を飛べるほどに視力が戻ったのです。

 驚くほどの回復力を見せてくれたオオタカ。ただ、見えているのは右の目だけです。飛翔ができるからといって、野外で餌となる鳥を捕食し、生き抜ける保証はありません。これからいよいよ本格的なリハビリが始まりますが、わずかに差し込んだ希望の光を信じ、オオタカの未来を願わずにはいられない新年の幕開けとなりました。

 (ウトナイ湖野生鳥獣保護センター・山田智子獣医師)

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