(8) ポルアンナイ かつては祭壇も 現代に続く文化財

  • アイヌ語地名を歩く 白老, 特集
  • 2020年1月27日
社台川の支流付近に残る岩屋。アイヌ民族が狩猟の際に仮小屋として利用した
社台川の支流付近に残る岩屋。アイヌ民族が狩猟の際に仮小屋として利用した

 白老のアイヌ語地名を紹介して、今回で8回目となりました。今までは、海岸線に近くて、比較的行きやすい場所を紹介してきましたが、今回は山の中に付けられた地名を紹介します。

 社台川に沿って上流へ行く林道を進むと、やがて「ポルアンナイ」と名付けられた社台川左岸支流の小さな川を渡ります。ただし、川に名前が書いてあるわけではありませんので、知っている人にでも案内されなければ、それと気付くことは難しいかもしれません。この川の名前「ポルアンナイ」は、「ポル=岩屋、アン=ある、ナイ=川」という意味です。川の右岸にある低い山の中腹にポルがあるので、この名前が付けられました。

 このポルは、社台や白老のアイヌ民族が山で猟を行うときのシラッチセ(岩屋を利用した仮小屋)として利用されました。ここで寝泊まりしながら獲物を狙い、獲物が獲れたらコタンへ運ぶことができるように解体などの処理を行った場所なので、簡単な儀式も行われ、昭和50年代まではヌサ(祭壇)も残されていました。

 この場所で寝泊まりをしながら猟をしたのは、ポルという自然の岩屋があったことも理由の一つですが、その他にも、この川はヒグマの通り道になっているために、獲物を狙うのに都合が良かったことも理由と考えられます。

 その後時代が変わり、入植者が入るようになってからは、社台川の下流域には牧場が造られたために、牧場に出て来るヒグマを見張る場所としても使われました。やがて、観音菩薩や馬頭観世音が祭られるようになり、今でも人びとに利用されています。同じような場所は、北海道の他の場所にもありました。白老では、社台滝の上にもシラッチセがあり、白老の人が猟のときに使ったと伝えられています。

 ただし、ポルアンナイにあるポルは他の場所と違って、白老町のアイヌ文化期から開拓期、更には現在にまで続く文化財として貴重な場所です。忘れ去られることなく、これからも守られ続けてほしいと思います。

 (苫小牧駒沢大学客員教授・岡田路明)

 ※「アイヌ語地名を歩く・白老」はこれで終わります。

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