道産材ギター製作中人 恵庭の鹿川慎也さん

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  • 2020年1月22日
道産木材を使ったエレキギターを製作中の鹿川さん

  恵庭市内のギター職人鹿川慎也さん(32)が、道産木材を使ったエレキギターを製作している。2015年に市内に工房を構えてから培ってきた職人としての経験と情熱を1本に注ぎ込んできた。2月から札幌市内の楽器店で試験販売するほか、ウェブサイトの開設も検討している。

   着手のきっかけは「北海道の木で、楽器に使えるものはあるのかな」―という素朴な疑問だった。昨年4月に木材の産地として知られる上川管内の中川町や下川町に赴き、木材屋やきこりに会って情報交換。手に取った木は、キハダやクルミなど。重さがエレキギターの材としてちょうど良く、木目の美しさに可能性を感じたため、仕入れることにした。

   現地の人から話を聞くうちに、道産木材の現状も見えたという。エレキギターに適している広葉樹は、針葉樹に比べ国内の材木生産量は少ないものの、ほとんどが北海道産。ある林業者は「自分の切った木は燃料になることが多く、製品になることは少ない」とも話していた。鹿川さんの気持ちに火が付き、「道内でギター職人をやっているのだから、使うしかないと思った」。

   自作楽器の展示会で知り合った関係者の協力を得るなどしながら、昨年までに12月に試作品を1本仕上げた。

   肝心の音質に驚いた。エレキギターのボディーに使ったキハダは音の抜けが良く、木材として一般的なアッシュやアルダーに聞き劣りしない。「適度に甘い音色が特徴のネックのダケカンバは乾燥する冬期間も狂いが少なく、十分な強度を備えていた」と話す。知人のシンガーソングライターに弾いてもらったところ、「『近年触ったギターの中で一番いい出来』と評価された」。

   2月からは島村楽器札幌パルコ店での試験販売も予定している。より多くの人に知ってもらうのが最大の課題で、ウェブサイトの設置なども検討中。道内出身のミュージシャンにも試奏を呼び掛ける考えだ。

   鹿川さんは「道産の広葉樹は種類によっては安定供給が難しいものもあるので、今後も樹種にこだわらず、その木にあったキャラクターのギターを作っていく。木材の仕入れ先も増やしていきたい」と意気込む。

   問い合わせは鹿川さん 電子メールinfo@shikagawa-mi.com

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