いのちと自然の造形譚 【中】人物の個性際立つ彫刻

  • 特集, 苫小牧市美術博物館
  • 2024年11月5日
左=舟越桂《そこだけの冬》1997年、中央=保井智貴《untitled》2004年(いずれも中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館蔵)、右=菅原勇〈廃墟にて〉1993年 苫小牧市美術博物館蔵

 本展の「第2章」では、モデルとなる人物の個性やその気配が際立つ彫刻や絵画を紹介しています。今回は、遠くを見つめるまなざしが印象的な舟越桂の作品と、保井智貴の等身大の女性像を紹介します。

 舟越桂の楠を素材とする《そこだけの冬》は、「冬」をタイトルに持つ5点のシリーズのうちの一つです。音楽家をほうふつとさせる衣装をまとう本作は、その詩的なタイトルと相まって物語の登場人物のようにも映ります。眼球の部分には大理石が埋め込まれており、その表面に光沢が施されることで、ぬれた瞳の表情が表されています。外側へ微妙に開いたまなざしは、思索にふけるかのような雰囲気を醸し出しており、静ひつな生命感を際立たせています。

 一方、保井の《untitled》は、瞳の部分に宝石が埋め込まれた女性像です。漆を主な材料とする乾漆という技法が用いられており、青い外套(がいとう)の部分には岩絵具による塗装が施されるほか、黒い光沢のある衣服の模様部分には、貝殻の光沢部分を用いた螺鈿(らでん)と呼ばれる工芸技法がちりばめられています。伝統的な技法を駆使しながら、今を生きる女性像を表した本作からは、「古典」と「現代」が一体になった普遍性が感じられるようです。

 このほかにも「第2章」では、多種多様な人間存在のありようやその気配が感じとれる作品群をご覧いただけます。郷土の画家・北川豊の絵画に登場する人物のポーズをまねすることで、描かれた場面や人物の感情などを想像する体験コーナーも設けていますので、ご観覧の際はぜひお試しください。

 (苫小牧市美術博物館学芸員 細矢久人)

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