(2)ゲストハウス二風谷ヤント経営 萱野(かやの) 公裕(きみひろ)さん(31) 文化を次世代へ伝える施設 違い受け入れ独自性発揮

  • 未来へ~アイヌ文化の担い手たち, 特集
  • 2020年1月7日
アイヌ民族の伝統弦楽器「トンコリ」を手に「違いはあっても、共存することはできる」と語る萱野さん

 平取町二風谷で2018年4月に開業した「ゲストハウス二風谷ヤント」を営む。地域から独自性が失われていることに危機感を覚え、先人が残したアイヌ文化を次世代へ伝える施設に―と開設した。室内は明るく、アイヌ文化を学べる豊富な書籍に加えて映写機も備えており、国内外から宿泊客が訪れる。

 二風谷で生まれ育った。アイヌ文化研究者でアイヌ民族初の国会議員を務めた祖父茂さん(故人)に会うため、海外からも客人が自宅を訪れるなど、幼少期からアイヌ文化が当たり前の生活を送った。地元の中学を出て、苫小牧工業高等専門学校に進学。卒業後は神奈川県の企業に就職し、機械設計士の仕事にやりがいを感じていた。

 ゲストハウス開業を思い立ったのは趣味で全国を旅する中、各地域にチェーン店の看板が目立ち、その土地の景観的特徴や良さが失われているように感じたのがきっかけ。そんな中、古里の二風谷に帰ると、アイヌが育んだ独自の文化が残っていた。魅力的な場所に自身がルーツを持つことに改めて気付かされた。「この場所で、まだあまり知られていないアイヌの文化に触れられる宿をつくりたい」。そんな思いがどんどん膨らんでいった。

 24歳で4年間勤めた会社を退職。英語の勉強と開業資金集めを兼ねてフィリピンや豪州、ニュージーランドで懸命に働いた。帰国後は15年10月から16年12月まで旭川市のゲストハウスで働いて、運営のノウハウも身に付けた。

 「ヤント」は、アイヌ語で宿を意味する。宿泊者はソファに座ってコーヒーなどを飲み、雑談しながら気軽にアイヌ文化に触れられる。インターネットを通じて小口の資金を集めるクラウドファンディングも実施し、書籍購入費などを確保した。

 苫高専在学中から自身のルーツについて聞かれた時は、アイヌであることを堂々と伝えてきた。社会に人種差別が根強く残っているが「差別主義者は間違ったことをベースに排他的な言動をとる。張り合うと疲弊する」と気に留めない。

 「世界は広く、国や地域で肌の色などが違うのは当たり前」。ゲストハウスを運営しながら、共存について考える日々だ。将来はこの場所が外国人と住民の交流拠点となることを願う。「違いを受け入れながら独自性を発揮することは可能。地域の人たちの視野を広げられるようなことにも挑戦していきたい」と力を込めた。

 (室谷実)

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